2011 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞マーカーNestinを標的とした膵癌新規治療の開発
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22689038
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
松田 陽子 日本医科大学, 医学部, 講師 (20363187)
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Keywords | Nestin / 膵癌 / 分子標的治療 / 浸潤 / 転移 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
中間径フィラメントnestinは膵外分泌前駆細胞マーカーの一つであり、膵癌の30%の症例で発現が見られる。膵癌培養細胞に、shRNAおよび過剰発現ベクターを遺伝子導入し、nestin発現抑制株と過剰発現株を作成した。その結果、nestin抑制株では細胞遊走、浸潤が著明に抑制され、逆にnestin過剰発現株では細胞遊走、浸潤が亢進した。さらにnestin抑制株では、マウス転移モデルにおいて著明な転移抑制が確認された。また、nestinの機能にはF-actinやE-cadherinの発現が関与することが明らかになった。癌幹細胞を検討する方法の一つであるスフェア形成法を用いて検討したところ、nestin発現の程度がスフェア形成能に大きく関与することが分かった。以上よりnestinは膵癌の遊走、浸潤、転移、および癌幹細胞制御において重要な役割を担っており、Nestinを標的とした治療法によって膵癌の浸潤、転移を抑制できる可能性がある。 平成23年度には遺伝子発現の変化について網羅的に解析を行い、その結果、nestinの発現がtranscription factor4(TCF4)の発現制御に関与することを明らかにした。TCF4は、幹細胞機能を制御するNANOGの転写を制御し、それによってnestinが幹細胞機能を制御する可能性が示された。 現在、マウス転移モデルを用いて、in vivoでnestinに対するsiRNAを投与し、その抑制効果を検討中である。また、タンパク質発現の網羅的解析、及び、リン酸化による活性化制御、及びepigeneticな変化についても、現在検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度、23年度に、遺伝子発現の網羅的解析を終了し、nestinが制御する重要な経路の解明ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、マウスモデルを用いたnestin siRNAの生体内投与を行っており、平成24年度中にその解析を終了する予定である。
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