2011 Fiscal Year Annual Research Report
テロメラーゼ特異的制限増殖型アデノウイルスによる骨軟部肉腫に対するウイルス療法
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22689040
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川島 寛之 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30361900)
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Keywords | 軟部肉腫 / ウイルス療法 / アデノウイルス / テロメラーゼ |
Research Abstract |
22年度は特に骨肉腫を対象に絞り、テロメラーゼ特異的制限増殖型ブデノウイルスによるウイルス療法の可能性を検討し、発表した。23年度は対象を軟部肉腫に広げると同時に、本ウイルス療法による悪性腫瘍細胞の殺細胞メカニズムの解明を目指した。軟部肉腫の細胞株を用いた実験では、アデノウイルスレセプターやヒトテロメラーゼ逆転写酵素の発現量に比例し、容量・時間依存性にウイルス増殖を起こすと同時に、オートファジー、アポトーシスの両者を介して殺細胞効果を発揮することがわかった。一方で、オートファジーを抑制すると、アポトーシスの誘導は増強され、殺細胞効果も増強されることが分かった。つまり、本ウイルス療法によって軟部肉腫細胞に起こるオートファジーは細胞死を誘導するものではなく、保護するものであると考えられた。さらに、アポトーシスを抑制すると、肉腫細胞内におけるアデノシン三リン酸が減少し、細胞死のメカニズムとしてアポトーシスからネクローシスに変化することも分かった。以上より、肉腫に対する本ウイルス療法による殺細胞メカニズムはオートファジー、アポトーシス、ネクローシスが複雑に絡み合って作用していると考えられ、殺細胞に抵抗性の細胞に対しては、逆にオートファジーを抑制しアポトーシスを誘導したり、アポトーシスを抑制しネクローシスを誘導したりすることによる殺細胞効果の増強を図ることも可能であると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り研究は進み、実験はほぼ終了し、結果は学会発表も済んでいる。研究の前半の部分はすでに英語論文として発表も済んでおり、後半の部分も英語論文を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
英語論文を完成し、24年度中に発表する予定である。その後は臨床応用に向け、次の段階へ研究を継続する予定である。
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