2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22689043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中江 文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60379170)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子後修飾 |
Research Abstract |
この研究はDNAメチル化を始めとした遺伝子後修飾(エピジェネテイクス:epigenetics)が神経因性疼痛のメカニズムにどのように影響するか調べることを目的とする。そのために、ラットで眼窩下神経絞扼モデルを作成し、遺伝子の発現変化にepigeneticな変化がどのように影響を及ぼしているのか明らかにすることを目標にしている。 昨年度より引き続きBDNFに着目し、メチル化解析を継続して行った。プロモーター領域のメチル化率は非常に小さい領域が多かったが、特にスプライスバリアントのうちexon IIIの領域についてはそのメチル化パターンがクラスター解析により、ナイーブな何もしない動物からのサンプルと神経障害性疼痛モデルサンプルを分けることが可能であった。このことは、①メチル化という変化がわずか障害を受けたのち2週間で起こり始めること。②そのメチル化パターン解析によって痛みを生じる障害の有無を判定できるバイオマーカーとなり得る可能性があること。上記2点が重要であり、現状神経障害性疼痛のバイオマーカーがないため、客観的診断指標がないという問題がこの研究からの成果で解決できる可能性を秘めている。 さらに、コアヒストンのアセチル化解析の実験に着手した。クロマチン免疫沈降で特定の部位を抗体を用いて取り出したのち、リアルタイムPCRを用いてどの部位で顕著な変化が出ているかを検証した。現在その解析作業中である。始めの実験ではN=3としてサンプルを調整しており、さらにサンプルを増やしてN=5となるようにして実験が終了した。今後はさらに解析を進め、国際学会での発表や論文投稿につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模シークエンサーによる解析で、昨年度に終了し切れなかったスプライスバリアントの解析をも終了することができ、さらに、クロマチン免疫沈降法による遺伝子後修飾の解析のの系を効率よく立ち上げる事が出来、その成果が出つつある。 得られた成果は国際誌に十分通用するレベルであり、国際学会での発表も予定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クロマチン免疫沈降を行い、その産物のPCRプロダクトを定量PCRによってさらに大規模に解析を行う。現在眼窩下神経絞扼モデルにおいて解析作業がほぼ終了しつつある。今後は国際学会での発表と論文化を目指して取り組んでいく。海外の研究者と積極的に情報交換を行い、論文化を行う際、意見を取り入れできるだけ早いアクセプトを目指す。
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Research Products
(3 results)