2010 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞を用いた歯関連組織の分化メカニズムの解明とその応用
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22689050
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
園山 亘 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (40325121)
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Keywords | 幹細胞 / 前駆細胞 / 分化メカニズム |
Research Abstract |
1.ヒト抜去歯からの細胞の分離と培養 これまでに継続的に分離してきたヒト歯髄幹細胞(DPSCs),歯根膜幹細胞(PDLSCs)は継続的に分離,培養を行なっている. しかしながら,当初対象とする予定としていたヒト歯乳頭由来幹細胞(SCAP)の分離,培養は困難となった.その理由はSCAPの分離には歯の発達段階のある一定時期に限られているためであり,この時期の根未完成歯の入手に困難を極めているからである.今後も継続的に協力歯科医師の検索を進める. ヒトエナメル上皮細胞の分離は技術的に困難であり,長期間にわたる継続的な培養法はいまだ模索中ではあるものの,短期間の培養であれば実験に供することが可能となる分離,培養系を確立した. 2.上皮細胞・間葉細胞共培養系における細胞動態の解析 申請書に記載のヒトエナメル上皮細胞の共培養系におけるアメロゲニン遺伝子発現促進メカニズムを解析するため,歯乳頭間葉細胞と歯小嚢間葉細胞間でcDNAマイクロアレイ解析を行い,遺伝子発現量に大きな差のあるものをいくつか把握した.そのうち,基底膜物質であるラミニンに着目し,詳細な解析を継続している. また,このヒトエナメル上皮細胞のポピュレーションダブリング(PD)を計測した結果,PDは約15であり,歯肉線維芽細胞(PD=約8)と比較してたいへん優れた増殖能を持っていることが明らかとなった. 3.細胞の分化や増殖を制御する因子の検索 ES細胞やある種の間葉系幹細胞の未分化性の維持にはWnt経路が強く関与していることが明らかとなっている.本研究では,Wnt経路のうちGSK3を阻害する薬剤を使用し,ヒト歯根膜幹細胞におけるその効果を検討した.その結果,ある濃度の本薬剤は,ES細胞のマーカーであるOct4やNanog,Klf4の歯根膜幹細胞における発現を強く促進することを確認した.
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Research Products
(4 results)