2010 Fiscal Year Annual Research Report
サービス利用者-援助者間関係の変革と協働のための技法研修プログラムの開発
Project/Area Number |
22689056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 有紀 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10292616)
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Keywords | ピアサポート / 医療・福祉 / 関係性 / 利用者援助者関係 / Intentional Peer Support / 質的研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、精神保健医療サービスの利用者が援助者に求める関係のあり方を抽出し、関係性に焦点を当てた利用者中心のサービスに対する理論的理解と技法の習得を援助者に促すプログラムを開発することである。関係性に焦点を当てるにあたり、特に相互に学び合う関係を意識し実践するIntentional Peer Support(IPS)が有用と考えた。 平成22年度にはIPSを含め、1980年から2010年までに発表されたピアサポートに関する研究をシステマティックに検索し概観した。その結果、ピアサポートは、(1)精神保健サービス組織に雇用されているピアによるサポート、(2)ピア運営プログラムによるサポート、(3)自助グループによるサポートの大きく3種に分けることができた。ピアサポートの効果や影響を探る研究は、3種のうちでは雇用されているピアに関する研究が多いことがわかった。サポートを提供する側と利用する側の関係に着目すると、雇用されているピアによるサポートを受ける人への効果や、提供する側(ピア)の感じるジレンマに関する研究が複数あり、相互性が高く、支援の方向性が一定でない自助グループなどのタイプのピアサポートの効果や特徴の表され方との違いが見られた。 本研究は、IPSを学んだ者への調査を通じ、IPSを学んだことやその実践が与えた影響を明らかにすることを目標の一つとしているが、IPS自体は上記3種のピアサポートはもちろん、それ以外の関係性にも適用することのできる実践である。従って、その効果や影響を明らかにするためには従来の定量的な測定ではなく定性的、かつ、相互性を考慮した研究方法が必要であると考えられた。そこで平成22年度にはIPSについて学ぶ勉強会に参加した者等によるグループディスカッションを行い、IPSを学んで感じたことや変化したこと、IPSについて思うことなどを話し合った。研究参加者は合計38名であり、参加者の了承を得て対話を録音し、分析を進行している。
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Research Products
(1 results)