2012 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ上に現れる記号列に対する文法処理手法の開発とその応用
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22700002
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤芳 明生 茨城大学, 工学部, 准教授 (00323212)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 情報学基礎 / 形式言語理論 / グラフ理論 / アルゴリズム / 数式OCR |
Research Abstract |
平成24年度の成果としてもっとも大きなものは、一般のグラフに対し木オートマトンによって受理される全域木を発見する問題が線形時間FPT(Fixed Parameter Tractable)であることを証明したことである。線形時間FPTであるとは、すなわち、線形時間でこの問題を解決するアルゴリズムが存在することを意味する。tree-widthが制限されたグラフに限定したり、直並列な無閉路有効グラフに限定すれば線形時間のアルゴリズムはすでに発見していたが、一般的のグラフに対してこの問題が線形時間で解決可能であることの証明を行った。この結果は、国際会議で発表するとともに、学術誌に論文を投稿中である。この結果は数式OCRだけでなく、化学構造式OCR、化学式検索などに応用が可能である。 応用研究として、昨年度までに開発された認識アルゴリズムと、数式OCR開発の経験と技術を応用し、化学構造式OCRの開発を引き続き行っている。日本の公開特許公報中には多数の化学構造式が存在するが、現在、手作業での電子化作業が行われており、時間と費用が膨大なものとなっている。社会貢献の度合いは、数式OCRより化学構造式OCRの方が大きいのではないかと考え、開発の重点を化学構造式OCRにおくこととした。 また、今年度から応用研究の一つとして、PDFファイルのレイアウト解析プログラムの開発を行っている。これは、OCRの技術を応用したものである。それにより、音声付教科書の半自動作成システムを完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究、応用研究、共に順調に成果を上げ、国際会議での発表を行い、学術誌論文へも論文を発表してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるので、研究成果のとりまとめを中心に行う。 理論研究については、グラフ上に現れる記号列に対する文法処理手法の開発について、成果をとりまとめ、国内外の学会で発表を行うとともに学術誌に論文を投稿する。 応用研究については、数式OCRおよび化学構造式OCRのソフトウェアについて、成果をとりまとめ、国内外の学会で発表を行うとともに学術誌に論文を投稿する。
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