2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700011
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長坂 耕作 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70359909)
|
Keywords | 数式処理 |
Research Abstract |
投稿中であった格子算法による整数係数多項式の近似GCDアルゴリズムを,最新の報に基づいて修正したものがJournal of Symbolic Computationの査読を通っており,掲載予定である。その成果を整数の近似GCDアルゴリズムに応用し,準同型暗号との関連性を京都大学の研究集会で発表している。準同型暗号はクラウドなどにおいて,秘匿すべき情報の処理を実現するために必要不可欠な暗号技術であり,その安全性が整数の近似GCDに帰着されることがわかっている。本研究では,整数を基数の多項式として表現することで,多項式用のアルゴリズムが整数用にも利用できることを示した。その後,整数に拡張する段階で導入した特殊な整数格子が,多項式の近似GCDアルゴリズムの誤差の取り扱いを改善することが判明したため,国際研究集会にExtended Abstractの投稿を行っている。 誤差を含む代数制約の簡単化を,研究代表者が提唱した構造化Groebner基底で実現しようとしている。本研究の開始時点では,構造化Groebner基底を計算するアルゴリズムの実現には至っていなかったが,本年度の研究集会での情報交換などに基づいて,定義に基づく基底の計算を行えるアルゴリズムを開発した。手法としては,厳密なGroebner基底の高速計算アルゴリズムであるF4に基づいて,構造化Groebner基底に必要となる項集合の計算に特化させたものである。その成果は,2011年度に開かれるISSAC 2011 (International Symposium on Symbolic and Algebraic Computation)に採択され発表予定となっている。なお,これら研究実績に基づくプログラムは,Mathematica上に実装したものを,論文等に記載のURLからダウンロードすることで入手可能となっている。
|