2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700014
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西村 治道 大阪府立大学, 理学系研究科, 講師 (70433323)
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Keywords | 量子通信 / 通信計算量 / ネットワーク符号 |
Research Abstract |
ネットワーク上に送信者・受信者の組が複数存在するとき,ネットワークの各ノードで情報の加工を行う「ネットワーク符号」を用いることで,複数の組のそれぞれが情報の通信を効率的に行う問題は,1人の送信者が複数の受信者すべてに情報を送信する「マルチキャスト型」に比べて未解明であるが,一般性が高いため盛んに研究されつつある.本年度の研究では,この問題について量子情報を効率的に送る新しいプロトコルの提案を行った.このプロトコルは以前の研究[Kobayashi-Le Gall-Nishimura-Roetteler ICALP2009]で提案されたプロトコルに比して,次の2点が改良されている.(1)以前のプロトコルは基礎となる古典のネットワーク符号プロトコルは線形符号化であることに限られていたが,今回のプロトコルは符号化を仮定する必要性がない.(2)通信量が大幅に削減された.具体的にはネットワーク上の各枝では古典情報が2ビット,量子情報が1量子ビット送信できれば,各送信者・受信者ペア間で1量子ビットの送信が可能となる. また,前年度に引き続き,量子質問計算量や量子非対話型証明系のような通信を含む量子計算モデルについて研究を行った.特に,非有界誤り型と呼ばれる計算量理論的設定の下で量子質問計算量の完全な特徴付けを与えることに成功し,また通信計算量モデルとの対応関係についても明確な関係を与えた.、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワーク上の量子情報の効率的伝送に関しては,以前の研究で残されていた問題点の1つを完全に解決することに成功した.他の通信を含む量子計算モデルについても具体的な問題に対して効率的なアルゴリズムやプロトコルを得るなど多くの知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワーク上の量子情報の効率的な伝送については,測定を基にした量子計算モデルとの関連が考えられ,今後はその方向に関する知見を増やしていくことを考えている.また量子非対話型証明系ではこのモデルの提案者などと密に協力していくことで研究を推進する予定である.
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