2011 Fiscal Year Annual Research Report
SINRモデルを用いた実用的アルゴリズムの設計と可解性の解明
Project/Area Number |
22700017
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
泉 朋子 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (70551505)
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Keywords | SINR無線通信モデル / 基礎アルゴリズム設計 / 動的ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は,通信電波の強度減衰や干渉,外部環境のノイズを考慮したSINR無線通信モデルに着目し,実際の無線通信に近いモデル上での基礎理論の構築を目標としている.中でも本年度は,既存のグラフに基づくモデル上でのアルゴリズム設計論について調査,研究し,実システム上で起こりうる問題点を整理し,さらに既存手法のSINRモデルへの適用可能性について研究を行った.SINRモデルでは電波の干渉の発生により,同時に通信可能な通信ペアは限られる.既存の研究では,与えられた通信要求に対し時間最適な通信スケジュールを提示することに着目されていた.しかし報告者は逆のアプローチで,SINRモデル上での通信スケジュールや通信トポロジが上層のアプリケーションやアルゴリズムに与える影響を解明することが重要であると考えた.これにより,通信時間の観点以外に,どのような点を考慮し通信スケジュールを構成すべきかが解明される.具体的には以下の研究成果を得た. 1.無線通信ネットワーク上での安全な通信手法について 本研究では,通信トポロジが木構造を有している際に安全な通信を行う手法とそれにかかるコストについて研究を行い,その成果を学会発表2件,雑誌論文1件で発表を行った. 2.動的なネットワークにおけるモバイルエージェントの協調動作について 特定の通信トポロジを維持することのできないネットワークにおいて,モバイルエージェントの協調動作について研究を行った.本研究では,下位層のネットワークトポロジがエージェントの協調動作の可解性に与える影響を示した.本研究は,現在国際会議,および雑誌論文への投稿準備を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,SINRモデルが有するアルゴリズム設計者が望む通信トボロジが維持できない弱さや不安定さが上層のアルゴリズムに与える影響の一部を解明することができた.ただし,得られた知見に基づいたSINRモデル上での通信手法については研究準備段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から,SINRモデルで構築した通信スケジュールが上層のアルゴリズムに与える影響が解明された.そこで次年度以降は,SINRモデルでのルーティング手法の提案と評価に関する研究に加え,上層のアルゴリズムにとって有利な通信スケジュールや通信トボロジを構成するSINRモデル上での通信手法について研究を行う.
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