Research Abstract |
本年度は,グラフの辺向き付け問題と正則部分グラフ発見問題について主に研究した. 辺向き付け問題においては,グラフ構造が入力され,その辺の向きを決定あるいは変更するという局所的な演算を結合することで,何らかの大域的な指標についての最適化を行う問題と言える.ここで,最適化する指標としては,最大次数や最小次数がページ群の相互接続の密度を示す指標として分かりやすい.ここで,各頂点から出る辺の重みの総和の最大値と最小値を最大次数と最小次数という.局所的な決定の繰返しで大域的な最適化を,ある程度の精度で実施できるような,グラフの構造について考察を進めるとともに,逆に,どういった構造でも問題の困難さが維持されるのかについて明らかにした.グラフの構造としては,カクタスグラフや木幅限定グラフ,平面グラフ,二部グラフなどを対象とし研究を進め,得られた成果をDiscrete Applied Mathematics誌,International Journal of Foundations of Computer Science誌,Journal of Combinatorial Optimization誌,国際会議Computing : The Australasian Theory Symposium(CATS2012)で公表した. 正則部分グラフ発見問題とは,グラフ構造中から,指定される頂点数を抜き出すことにより得られる正則部分グラフを発見する問題である.全ページ群から,リンク構造に対してバランスのとれたページ群を抜き出すことに対応する問題であり,この問題の計算複雑さについて研究し,得られた成果を国際会議The 2011 International Conference on Foundations of Computer Science(FCS)において公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始年度の平成22年度には,査読付の国際会議で公表した研究成果が1件と国内の研究会等で公表した研究成果が2件あった.平成23年度には,査読付きの国際雑誌で公表した論文が3件,査読付の国際会議で公表した研究成果が3件,国際研究集会での発表が1件,ならびに国内の研究会等での発表が4件あり,国際的にも認められるような成果を上げることが順調に出来ていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは,個別の問題に対して各個に取り組み,それぞれの問題設定や目標に対して,モデル化,計算複雑さの考察や,アルゴリズムの設計を行ってきた.研究の過程で,当初は気付いていなかった問題間の関連などもわかってきた.今後は,これまでに用いてきた計算複雑さの考察やアルゴリズムに関する手法を,より一般化する,あるいは共通部分を抽出することにより,より多くの問題への適用可能性について検討したい.
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