Research Abstract |
本年度は,研究期間の初年度であったことから提案アプローチの有効性をまずは確かめることを目的とし,比較的単純なサーバ環境でタグチメソッドを適用した実験を行った.また,次年度以降の研究を進めやすくするため,チューニングを目的としたスクリプティング環境の整備を行った. まず,アプローチの有効性の確認では,Apacheウェブサーバ1台で構成されたサーバを対象に,MaxClients,KeepAliveTimeoutなどの少数のパラメータに対してタグチメソッドを適用し,ロバスト性が向上するかどうか確認を行った.ベンチマークとしては,振る舞いが解釈しやすい,少数のファイルにアクセスする単純なワークロードを使用した.その結果,限定的な環境ではあるが,ワークロードの変動に対して,応答時間が変化しにくいパラメータ値の組み合わせを見つけることができた. また,スクリプティング環境の整備では,従来,さまざまなスクリプトの組み合わせて行っていたチューニング作業を,統一的な環境で効率的に行えるようにした.本環境では,チューニング対象のサーバや,ワークロードの生成に使用するベンチマーククライアントをスクリプティング環境上の言語オブジェクトとし,複数の計算機を同時に操作する実験であっても,透過的に一つの環境上でスクリプトとして記述可能とした.そのため従来と比べて,飛躍的に実験における苦労が軽減されている. 次年度以降は,現在までに得られている結果をもとに対外成果論文化と,より本格的な環境でタグチメソッドの有効性の確認を進める.より具体的には,ウェブサーバ以外のHadoopなどの他のアプリケーションでのタグチメソッドを使用した場合の有効性の確認や,ウェブサーバにおけるSPECweb2005のような本格的なベンチマークを使用した調査を行う.
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