2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロバストなサーバソフトウェアの運用と設計開発:タグチメソッドを利用したアプローチ
Project/Area Number |
22700023
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
杉木 章義 筑波大学, システム情報系, 助教 (50536828)
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Keywords | 並列分散システム / オペレーティングシステム / サーバ管理技術 |
Research Abstract |
平成23年度は,昨年度整備したスクリプティング環境をもとに,SPECweb2005ワークロードにおけるApacheとHadoopを対象とした本格的な実験に着手した. 前年度までに整備したスクリプティング環境は,実験において必要なサーバソフトウェアやベンチマーククライアントなどの各資源を分散オブジェクトとして抽象化し,統一的な環境でこれらを操作可能とすることで,本研究のようなサーバソフトウェアにおけるパラメータチューニング実験を行う際の苦労が大幅に軽減されている. 本年度,上記のスクリプティング環境をもとにApacheやHadoopを対象とした本格的な実験に着手した.研究計画では,サーバソフトウェアごとに性能に効果的なパラメータが数百個のパラメータのうちどれであるかをまず特定し,次にそれらのパラメータ値の最適値がワークロードごとに異なることを確かめることを目標としている.その上で,タグチメソッドを適用し,ロバスト性の向上に効果があるかどうかを確認する計画である.Apacheでは,SPECweb2005のBanking,Ecommerce,Supportの3種類のワークロードを使用した.一方のHadoopでは,標準的に付属するword count,sort,grepの3つのワークロードを使用した.実験を進めた結果,それぞれのサーバソフトウェアにおいて数個程度の効果的なパラメータを選別することができた.次は,ワークロードごとに最適なパラメータ値が異なることを確認することになるが,実験で使用したワークロードや実験環境の制約から,ワークロードごとの違いがまだ小さく,対策が必要となった.平成24年度も評価実験は継続して進める予定であり,対策の見込みも既に立っていることから,最終的な研究目標は十分達成される見込みである. 本研究課題の特徴は,性能測定の際に発生する誤差を当然のものとしてとらえ,統計的な管理手法を使用しながらチューニングを実施することを目標としている点である.また,単に性能の最高点を目指すのではなく,ロバスト性の向上に着目している点も特徴がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の研究実施計画書および交付申請書に記載した計画の通り,順調に進展している.研究初期段階に実施したApacheウェブサーバを使用した予備実験において,タグチメソッドの有効性が確かめられている.現在,近年注目を集めているHadoopを対象に本格的なワークロードでの評価および対外論文化の作業を進めている.この作業において,既にHadoopのどのパラメータが性能に効果的か確認しており,今後ワークロードごとに最適なパラメータの値が異なることを確かめ,タグチメソッドを適用すれば最終的な成果を得ることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,サーバソフトウェアのロバスト性改善に関する本格的な評価を進め,最終的な研究成果の総仕上げを行う,本年は,近年注目を集めているHadoopを中心に,評価作業を進める.その際,Hadoopの標準的なベンチマークの一つであるGridmix2を使用し,ワークロードごとに最適となるパラメータ値が異なることを確認する.Gridmix2には,stream sort, java sort, web data scan, combiner, monster query, web data sortの6種類のワークロードが含まれており,その何れもがHadoopにおける典型的なワークロードの特徴を示している.これらのHadoopとGridmix2の組み合わせにおいて,タグチメソッドの有効性を確かめることができれば,本研究課題が目標とする実環境に近い場面でのロバスト性の向上が示されると期待される.
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