2011 Fiscal Year Annual Research Report
オープンソースソフトウェアに対する品質指標とその予測法の開発
Project/Area Number |
22700035
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿萬 裕久 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (50333513)
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Keywords | オープンソース開発 / 品質評価 / 変更量予測 / 非同次ポアソン過程 / コメント文 / コードクローン |
Research Abstract |
昨年度から引き続き,(a)非同次ポアソン過程モデルに基づいたソースコードの変更量予測に関する研究と(b)ソースコード中のコメント文記述量に基づいた品質評価・予測法の研究を行った. (a)については,これまでにオープンソースソフトウェアから収集した多数のデータに対する提案モデルの適用実験についてまとめ,ソフトウェア計測に関する国際会議にて発表した.詳細レベルでの正確な予測という観点ではまだ改良の余地があるが,ソフトウェア開発・保守の進捗状況を定量的につかむという観点では一定の有効性を持ったモデルを創出できたと考えている. (b)については,従来のメトリクス研究ではあまり注目されていなかったコメント文記述に着目し,あわせてコメントアウトと区別して測定・分析することで新たな知見を得ることを試みた.現時点では,ソースコードにおいてコメント記述が占める割合が高い場合,バグが混入している可能性も高いという傾向を統計的に示すことができている.この成果について国内のシンポジウムにて発表したところ,複数の研究者から高い評価が得られた.その後,内容を学術論文としてまとめて投稿したところ,情報処理学会論文誌に掲載された. 以上,平成23年度の時点で(a)オープンソースソフトウェア開発での変更量予測モデル,(b)バグ混入率の高いソースコードの予測技術についてそれぞれ一定の成果が得られ,国際会議並びに学術雑誌にて論文を公表することができた.またあわせて,コメント文以外の特徴としてコードクローンにも着目し,どういった特徴のクローンがソースコードの変更量増大につながっているのかという観点でも研究を進めている.この点についても,査読付きシンポジウムならびに国際会議にて成果の一部を発表しており,次年度(最終年度)には学術論文としてまとめる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の出願時点で想定していた数理モデルの創出は,大きな問題もなく実現でき,実データによる評価と論文化もできている.ただし,予測モデルの精度向上のためには,個々のソースコードの解析が必要不可欠であり,そちらに関する研究に重点が移りつつある.そのため,まだ解決すべき課題も多く残されており,今回は区分(2)の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,コメント文といった個々のコード品質への影響が疑われる要素の解析を進め,一般にも分かりやすいかたちで,コード品質の評価法を確立したい.具体的には,どういったコメントの書かれ方がなされると,バグ混入がより疑われるかといった視点からのガイドラインについて検討し,その有効性を実データによって示す予定である.さらにはそういった基準をもとにソースコードの(予測される)品質レベルでの層別化を図り,これまでの確率過程モデルでの予測精度の向上を目指す. 次年度は3件以上の口頭発表と国際会議論文,学術雑誌論文の投稿をそれぞれ1件以上行うことを目指す.
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Research Products
(8 results)