Research Abstract |
Cプログラムからハードウェアを自動生成する高位合成ツールにおいて,メモリアクセスを効率的に扱える仮想ハードウェア(提案済み)の導入を試みた.導入にあたって市販の高位合成ツールHandel-Cを購入した. Handel-Cで自動生成したハードウェアと仮想ハードウェアを組み合わせるために,Cプログラムにおけるインタフェースの記述方法と自動生成されたハードウェアの入出力インタフェースを解析した.その結果,Handel-Cと組み合わせ可能であった. 基礎実験として,色変換(RGBからYUV)のハードウェア化を通して,仮想ハードウェアの効果を調べた.具体的には,処理の並列度とメモリレイテンシの隠ぺいに関するハードウェアコストと性能のトレードオフが如何に容易に実施できるかである.その結果,仮想ハードウェアによってトレードオフの実施が簡単化された. 続いて,メモリアクセス回路を含めた全ハードウェアをHandel-Cで記述・生成した場合と,仮想ハードウェアを介してハードウェアを生成した場合とを比較した.適用事例は,前述と同じ色変換である,その結果,設計負荷が大幅に削減され,かつ,同規模・同性能の回路が生成された.つまり,Handel-Cに対して,仮想ハードウェアを導入することは,メモリアクセスを伴ったCプログラムのハードウェア化に貢献することがわかった. ただし,実施過程において,高位合成ツールでもメモリレイテンシを隠ぺいするメモリアクセス回路は,比較的容易で,かつ,より柔軟に記述できた.さらに,すべてCで記述すると,Cレベルでのシミュレーションが実行可能なことから,論理検証の点で仮想ハードウェアが不利であった.今後は,これらの結果を踏まえて,高位合成ツール自身で,より効率的,汎用的,かつ,統一的にメモリアクセス回路を記述する手法の検討が重要との考えに至った.
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