2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワークコーディングを用いた高信頼無線ネットワーク
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22700069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 崇弘 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50314381)
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Keywords | 高信頼無線通信 / ネットワークコーディング / マルチホップ無線ネットワーク |
Research Abstract |
本研究では,産業機器等の制御システムを無線ネットワークで構成する無線ネットワーク化制御システムにおいて,システムを安定に動作させるための高信頼無線転送技術について提案し,その性能面からの有効性を明らかにすることを目的としている.提案する方式は,ネットワークトモグラフィによる無線リンクの通信品質測定とネットワークコーディングによる消失訂正符号を組み合わせた手法である.昨年度の検討では無線リンクの通信品質が完全に推定されるという理想的な状況での経路制御方式の検討を行った.本年度の検討では,主にネットワークトモグラフィの手法について検討した.本研究で想定する環境では,任意の非循環有向グラフでの通信品質推定を可能とするネットワークトモグラフィが必要となるが,そのための技術としてネットワークコーディングを用いたネットワークトモグラフィと圧縮センシング技術を応用したネットワークトモグラフィの2つについて検討した.シミュレーション実験による性能評価の結果,ネットワークコーディングを用いた場合にはリンクの通信品質を高精度に推定可能であり,ネットワークトモグラフィを用いた場合には通信品質の悪いリンクのみを抽出してリンクの通信品質を推定できることを明らかにした.また,これらのネットワークトモグラフィを提案方式である経路制御方式に組み込んだ場合の基本的な性能評価をシミュレーション実験により行い,一部ではあるが提案方式の有効性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はネットワークトモグラフィ技術の提案およびその性能評価を主たる目的としていた.本年度得られた成果により,提案したネットワークトモグラフィの有効性をシミュレーション実験により明らかにできたため,研究計画は概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ネットワークトモグラフィ技術を経路制御方式に組み込んだ提案方式を確立し,その性能評価を行っていく.ネットワークトモグラフィの性能評価の段階で,空間的に相関のある伝搬路環境等の場合にはネットワークトモグラフィの性能が劣化する可能性のあることもわかっている.この問題に対しては,相関性を考慮した伝搬路モデルを用いたネットワークトモグラフィにより対応する予定である.
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