2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模ネットワークに適応性をもたらす進化的P2Pネットワーキングに関する研究
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22700077
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大西 圭 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (30419618)
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Keywords | P2Pネットワーク / 進化的計算手法 / 大規模ネットワーク / 並列化 / スケーラビリティ / 負荷分散 / オンライン最適化 / ネットワークトポロジ |
Research Abstract |
以前に,P2Pネットワーク上のサービスの質や効率等を改善するために「進化的P2Pネットワーキング技術」を提案した.この技術は,生物の遺伝と進化に着想を得た進化計算手法とP2Pネットワークを融合するものであり,全てのノードが同時に属する複数のP2Pネットワークトポロジ(個体群)を,進化的な方法によりオンラインで最適化する.しかし,進化的P2Pネットワーキング技術は,実P2Pネットワークに見られるような大規模性を考慮していなかった.例えば,LimeWireと呼ばれるP2Pファイル共有ネットワークでは,数百万人のユーザの同時参加が報告されている.進化的P2Pネットワーキング技術は,ネットワークトポロジを適応的に変化させるために,評価値をノード群から集め進化計算手法を実行する「スーパーノード」を必要とするが,ノード数の増加,つまりネットワークの大規模化に伴い,ごく少数のスーパーノードだけではそれらが過負荷となり,ネットワーク全体が機能停止に陥る可能性がある. そこで,今年度は,実世界に見られるようなP2Pネットワークの大規模化に対しても進化的P2Pネットワーキング技術がスケーラブルとなるように,P2Pネットワーク上の全ノードを複数のグループに分け,各グループに並列的に進化的P2Pネットワーキング技術を適用する技術(並列進化的P2Pネットワーキング技術)を提案し,それをシミュレーションにより基礎評価した.評価の結果は,ネットワーク内の負荷分散と検索確実性の間にトレードオフがあることを示し,より良いトレードオフ開拓のためには,分割されたノードグループ間の整合性を保つためのグループ間情報交換が必要であることを示唆した.また,並列進化的P2Pネットワーキング技術の応用先として新たなP2P情報共有システムを考案し,その有用性をシミュレーションに評価した.
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