2010 Fiscal Year Annual Research Report
低軌道衛星IPネットワークエミュレータの構築および通信制御方式の実験的検証
Project/Area Number |
22700081
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
角田 裕 東北工業大学, 工学部, 講師 (30400302)
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Keywords | 衛星利用ネットワーク / エミュレーション / TCP/IP |
Research Abstract |
本研究は、数十機から数百機の低軌道衛星からなるネットワークである「低軌道衛星ネットワーク」のエミュレータを開発し、インターネット標準のTCP/IPやこれまでに提案されている低軌道衛星ネットワーク用の各種通信制御方式の性能を実験的に検証することを目的とする。衛星ネットワークの中でも、低軌道衛星ネットワークはその衛星軌道の低さから伝搬遅延が特に小さく、伝搬中のロスを抑えることができるという利点があり、従来から低軌道衛星ネットワークのIP化とインターネット標準のTCP/IPプロトコルによる地上インターネットとのシームレスな接続・統合の実現が世界的に期待されている。そこで、本研究により、低軌道衛星ネットワークの通信制御に関して実用的な側面からの評価を充実させ、低軌道衛星IPネットワークの早期の実現に貢献することを目指す。 本年度は、(1)低軌道衛星ネットワークの遅延データのデータベース作成および(2)エミュレータのプロトタイプ構築を行った。まず、低軌道衛星ネットワークの一種であるIridiumにおける遅延の変動をNS-2を用いたシミュレーションにより再現し、各時刻における衛星間の遅延マップを生成しSQLiteによりデータベース化した。これにより、今後のエミュレータ上で低軌道衛星ネットワークの遅延変動を再現する基礎データを確保した。また、計上した予算で購入したサーバ上の仮想化ソフトウェアVMWare ESX上に1台が1機の衛星をエミュレートするLinuxマシンを相互に接続したエミュレータのプロトタイプを構築した。そして、ネットワークのエミュレーションソフトnetemを使用して遅延の変動を再現する環境を整備した。プロトタイプ構築を通じ、複数のネットワークインターフェースを持つLinuxマシンをグリッド状に接続する際の問題点を整理し、エミュレータの大規模化の道筋をつけることができた。
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