2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22700082
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植原 啓介 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (30286629)
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Keywords | ネットワーク / 高度道路交通システム(ITS) |
Research Abstract |
2011年度は、より実環境に近いシミュレーションを実施するため、タクシーの実走行履歴を使ったシミュレーションを行った。すれ違い通信に関するシミュレーションでは、ランダムウォークモデル、ランダムウェイポイントモデル等のモデル化されたモビリティモデルを使うのが一般的であるが、これらは車両の動きのモデル化とは言い難い。そこで、研究者が2002年に名古屋において実施したプローブ情報システムに関する研究において取得したタクシーの実走行軌跡を用いてシミュレーションを行った。 シミュレーションを行うにあたり、まず、車両の走行軌跡データの特徴を抽出した。当然ではあるが、一般的な(人工的な)モビリティモデルと比較した場合、車両同士のコンタクト数が周期性を持つことが解った。さらに、非常に良くコンタクトする車両ペアがある一方で、殆どコンタクトのない車両も存在し、その分布がおおよそ幕乗則に従うことがわかった。このことから、情報流布モデルを考える場合には、過去の履歴からコンタクト数の多い車両を洗い出し、その車両に集中的に情報を伝達することが全体の情報流布の効率を高めることにつながることが予想できる。2012年度の研究においては、このような知見を活かして情報流布アルゴリズムを改良する予定である。 2011年度に開発した情報伝達のためのアルゴリズムとしては、メモリ使用量を小さく押さえ、且つ到達率を維持するようなアルゴリズムを考案した。これを前述のシミュレータによって検証したところ、先行研究の結果と比べ、車両の走行のようなモビリティモデルでは、到達率を維持しつつメモリの使用量を押さえることができることがわかった。また、この傾向は車両の台数が増加すれば顕著になる傾向を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は、実走行軌跡を用いたシミュレーション環境の構築および1つの情報流布モデルの検証を行った。2012年度は連続性を持たせ、2011年度の研究成果を活用したアルゴリズム改良を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度に、多くの先行研究で使われている一般的なモビリティモデルと実際の自動車の走行履歴とを比較し、その特徴を明らかにした。この特徴を鑑みて、より効率的なアルゴリズムの開発を行う予定である。
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