2012 Fiscal Year Annual Research Report
エコ余裕度に基づくエージェントフレームワークによる環境指向システム構成手法
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22700087
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
高橋 晶子 仙台高等専門学校, 情報システム工学科, 助教 (10537492)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 環境指向 / エージェント / 余裕度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,環境への負荷軽減(エコ)と利用者が要求するサービス品質(QoS)を同時に考慮しつつ,利用者の手を煩わせずに安定したネットワークサービスの提供を実現するシステム構成論を確立することである.具体的には,サービス利用者にエコであるということを気づかせずにサービス提供を行うことで消費電力を節約し,かつ利用者の満足するサービスを利用者要求や計算機/ネットワーク状況に応じて動的に提供する,すなわちエコアウェアかつQoSアウェアなサービス提供のためのシステムフレームワークの実現を目指している. そこで本研究では,エージェント指向コンピューティングに基づくコンポーネント組織の動的構成手法を発展させ,環境指向かつ利用者指向のマルチメディア通信システムを構成する.そのために,エコアウェアかつQoSアウェアなシステムとして実現するためにエコ余裕度とQoS余裕度のモデルを構成し,それに基づくエコアウェアエージェントとQoSアウェアエージェントを構成した.さらに,今年度は利用者指向システムとして実現するために,エージェント指向コンピューティングに基づくコンポーネント組織の動的構成手法の基盤技術に基づき,ネットワーク・計算機資源などの環境の変動や利用者要求の変化に対応して,システムを構成・調整するエージェントフレームワークを実現した.具体的には,今年度は環境指向かつ利用者指向のマルチメディア通信システムのためのエージェントフレームワークを実現するために,以下の3つのエージェントおよびフレームワークを構成した. ・ エコ余裕度に基づいて環境負荷を軽減させるエコアウェアエージェントの構成 ・ QoS余裕度に基づいてQoSを必要十分に制御するQoSアウェアエージェントの構成 ・ 上記2つのエージェントをマルチメディア通信システムにおいて動作させるためのエージェントフレームワークの構成
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にしたがって研究を遂行したため,大幅な遅れが発生することなく研究を遂行することができた. エコ余裕度に基づいて環境負荷を軽減させるエコアウェアエージェントの構成については,昨年度の研究成果であるエコ余裕度に基づいてエージェントを設計・実装することで円滑にエコアウェアエージェントを実現した. また,QoS余裕度に基づいてQoSを必要十分に制御するQoSアウェアエージェントの構成についても,昨年度の研究成果であるQoS余裕度に基づいてエージェントを設計・実装することでQoSアウェアエージェントを実現した. さらに,エコアウェアエージェントとQoSアウェアエージェントが動作するエージェントフレームワークを実装し,マルチメディア通信サービスをテストベッドとして実験を行い,上記2つのエージェントの動作,有効性を確認した. このように,本研究課題は計画した研究内容を,十分に達成している.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,環境指向かつ利用者指向のマルチメディア通信システムのためのエージェントフレームワークの応用として以下のアプリケーションのプロトタイプシステムを実装する. エコとQoSを考慮したビデオストリーミングシステム:エコだけではなく,利用者が享受するQoSまでを考慮したビデオストリーミングを実現する. エコ型携帯ビデオ会議システム:携帯端末上において,エコと利用者が享受するQoSを考慮したビデオストリーミングを実現する.このシステムでは,特に携帯端末という環境に特化したアプリケーションを実現する. ユビキタス3次元仮想空間システム:本手法の応用として,3次元仮想空間においてエコを考慮したシステムの実現を目指す. これらの研究項目については,平成24年度の研究成果である,システムの安定を保持しつつ,エコな状況に制御可能である程度を定量化するエコ余裕度,QoS制御の制御可能性を定量化するQoS余裕度,エコ余裕度とQoS余裕度に基づく余裕度モデルを実装したエージェントフレームワークを用いて実装を行う予定である.具体的には,エコアウェアエージェントとQoSアウェアエージェントをそれぞれのアプリケーション上で構成することで,使用資源量を削減しつつも,利用者の満足するサービスを提供可能な機能を実現することができる.
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