Research Abstract |
ライフログの主な構成要素である映像データから,映像中の人物の表情を認識し,印象的であると考えられる,感情(表情)が表出しているシーンを検索するシステムを構築した.本年度は,映像の各フレームの画像に対して行った表情認識の結果を用いて,映像中から表情が表出しているシーンを特定し,検索結果として提示する手法を構成した.また,前年度に構築した表情認識手法では,映像からの表情表出シーン検出に適用する際に,認識速度が不十分と考えられたため,表情認識に使用する画像特徴量をより高速に求められるものに改善し,認識精度を落とすことなく,大幅に認識速度を向上させた. さらに,ライフログを想定して,実際に日常生活の様子を収めた映像および映像中の表情表出シーンの情報を収めた検索用データベースを作成して,表情表出シーン検索の評価実験を行った.このライフログ映像には,自然に表出された表情や,微かな表情(表情表出時の顔面上の動きが比較的小さい表情)が多く含まれており,正確な表情認識を行うことが非常に難しかったため,検索対象の表情を笑顔に限定したものの,評価実験では,9割以上と高い適合率での表情表出シーン検索を行うことができた. 既存の表情認識に関する研究における評価実験では,多くの場合,意図的に表出された表情のみを含む映像データを対象としているのに対し,本研究では,自然に表出された表情を対象として,特に検索対象となりやすいと考えられる,笑顔の表出シーンを適切に検出できていることから,本研究は,ライフログ映像をはじめとした,人物を主体とする様々な映像に対する印象的なシーンの検索に対して有用であるといえる.
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