2011 Fiscal Year Annual Research Report
概念モデルと問合せ集合を用いたXMLスキーマの導出と更新
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22700099
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
橋本 健二 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (90548447)
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Keywords | XML / スキーマ |
Research Abstract |
本年度は,主にXMLにおける問合せ保存の決定可能性についての調査を行った.問合せ保存とは,問合せと文書変換が与えられたとき,ある問合せによって,各XML文書に対する与えられた問合せの結果と同じ結果を変換後の文書からも取り出すことができることをいう.まず,正規先読み付き決定性線形トップダウン木変換器(DLT^R)と呼ばれる木変換器のクラスでXML文書に対する問合せ・変換が表現される場合に,問合せ保存を満たすかどうかが指数時間で決定可能であることを証明した.具体的には,問合せ保存と関連して確定性(determinacy)と呼ばれる性質があり,DLT^Rにおいて問合せ保存性と確定性が一致することと,確定性の決定可能性を示すことで証明を行った.また,問合せ保存が満たされるときに,与えられた問合せを更新先スキーマにおける問合せへ指数時間で変換可能であることを証明した.しかしながら,より強力なクラス,たとえば,線形でないものも含む決定性トップダウン木変換器については,確定性が決定不能であることが証明でき,問合せ保存性と確定性が一致しない例も発見した.そのため,DLT^Rにおける問合せ保存の判定アルゴリズムを素直に拡張するだけでは不十分であることが分かった.DLT^Rより強力なクラスにおける問合せ保存の決定可能性の調査は来年度の課題とする.また,概念モデルを考慮した情報保存の定式化については,PankowskiによってOWLを用いたオントロジーベースの定式化[LID2011]がすでに提案されていた.しかしながら,その定式化のもとで情報保存が決定可能であるかなどについては言及されていなかったため,今後その決定可能性を検討し,その結果を踏まえて必要であれば別の定式化を提案する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
問合せ保存性の決定可能性の調査については,当初想定していた問合せ・変換クラスのサブクラスではあるが,決定可能なクラスを示すことができた.概念モデルベースの定式化については,既存研究が存在しその定式化に基づく情報保存が決定可能であるかを含めた調査が十分には済んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続いて,問合せ保存の決定可能性に関する調査および問合せ変換アルゴリズムの設計部分に重点をおく.オントロジーベースの情報保存の定義およびその性質の決定可能性の調査も行う予定だが,決定可能でかつ現実的な定式化の見通しが立たない場合は,問合せ保存ベースの情報保存の定式化のみに基づいてスキーマ更新支援について検討を行う.
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Research Products
(1 results)