Research Abstract |
CT,MRI,共焦点レーザ顕微鏡など,画像撮影デバイスの発展により,人体や細胞等の空間領域を観測し,3次元画像の取得が可能になっている。本研究では,この生体3次元画像データを更に活用するため,可視化と領域抽出を,直観的かつ効率的に行える環境の実現を目指し研究開発を行った.今年度前半に,三次元画像の可視化・領域抽出に関する主要部分の開発を終了できたため,今年度後半は,開発システムの臨床応用に関する研究に力を入れた. 横浜市立大学医学部泌尿器科との共同研究では,造影CT画像から,腎臓腫瘍の切除時の臓器切断面を可視化できるシステムを開発した.これにより,手術の際に切断面に現われる重要な構造(動脈等)の予測が可能になった。また,国立がん研究センターと共同で,MRI画像中の外肛門管括約筋群の領域を抽出できる手法の開発を行った.括約筋領域の境界は非常に曖昧であるため既存手法の適用が困難であった.提案手法では,専門家が描いた数本の輪郭を頼りに,括約筋領域を正しく抽出できる.これにより,術前に括約筋と腫瘍の3次元形状を正しく認識でき,直腸付近のがんに対する最新の処置であるISR(Intersphincteric resection)の安全性の向上が期待できる.さらに,本年度は,国立循環器病研究センターと共同で,MRI画像から抽出した心臓の動きを実時間でシミュレートする手法の研究開発も行った.この手法を用いると,心臓拍動を,消費者レベルのPC上で実時間で計算できるため,電子カルテ・手術シミュレータ・教育ツールなど様々な応用が期待できる.
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