Research Abstract |
昨今,環境問題が社会的関心事となっているが,教育の側面からこれにアプローチし,環境学習により人々の意識を啓発することは,喫緊の課題である.学習支援では,「学力の変化を適宜モニターし,変化状況に応じて支援する」ことは有効ではあるものの,実世界学習(環境学習を含む)においてはその方法論は未確立だった.本研究は,実世界学習者の行動をユビキタスセンサで計測・理解することで,彼らの学習状況を実時間に推定し,状況に即した環境学習の支援を行うことを目的とするものである. 多様になされる学習の状況を推定するためには,その基礎として,「学習者がどのような知識を得て,また,それらが互いにどのように関連づけられたか」を,いかに研究者が知るのかという点が課題となる.初年度であるH22年度は,概念地図法の改良によって,実世界学習における知識獲得過程を外化させる手法を開発・評価した.評価においては,環境学習実験(京都大学上賀茂試験地;一般被験者を対象)における学習者の取り組みを,ウェアラブルセンサによって外部観測したデータ(視界,発話など)から,分析した.また,実世界で探索的な課題解決に取り組む学習者が,どのような知識獲得や理解をしたのか,その学習の状況および推移(過程)を,提案手法によってどの程度分析できるかを検証した.その結果,提案手法によって,新規知識の獲得過程,学習者がつまずいている点などを,分析できる見通しを得ることができた.これは,学習状況の推定を目指す本研究において,基礎的成果として位置づけられ,H23年度,この基礎成果をもとに研究を発展させる.
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