Research Abstract |
本研究では触覚インタフェース,特に身体接触行動および温冷感を利用したインタラクションシステムの提案,開発をおこなう.これまでの研究知見を応用し,これらインタフェースを様々なインタラクションシステムに応用する方法と知見を明らかにし,システム実装することを本研究の目的とする.当該年度実施計画において,「新規センサモジュールによる従来システムの改良と,新規インタラクション開発」と「対外評価を得ること」の2つを主な目標に掲げた.温冷覚については2件の論文誌としてまとめることができた[1][2].内一件はビデオゲームに温冷覚を利用する際の,ユーザの反応速度についてまとめた内容で,論文誌だけでなく,情報処理学会山下記念研究賞が授与された.身体接触インタフェースについては,当該年度において2件の商品化を実現した.当初の目的としていた電子絵本システムに身体接触インタフェースを利用した成果を商品化した他,もう一方は生産数40万に及び社会的波及の大きな製品となった.これにより,全国にてCMが流れる等,一般社会に対して広く当該研究分野を周知すると共に,社会還元することができた.これら過程で得られた新たな知見を元に「触覚電子楽器」を実践し,その成果を1件の論文誌にまとめた[3]その成果はACM Siggraph Emerging Technologies部門に採択や国際コンペティション(ADAAインタラクティブ部門優秀賞)で評価を受けた. [1]土井幸輝,西村崇宏,瀬尾明彦,串山久美子,馬場哲晃ヒト手掌部における温度感覚特性及び識別特性の評価日本感性工学会論文誌,Vol.11,No.3,2012,掲載決定 [2]馬場哲晃,笠松慶子,土井幸輝,串山久美子,温冷呈示を利用したビデオゲームインタラクションにおける手法の検討と開発,情報処理学会論文誌,一般社団法人情報処理学会,Vol.53,No.3,pp1082-1091, [3]金井隆晴,菊川裕也,鈴木龍彦,馬場哲晃,串山久美子,PocoPoco:実物体の動きを利用した楽器演奏インタフェース,情報処理学会論文誌,一般社団法人情報処理学会.Vol.53.No.3.pp1050-1060.2012
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビデオゲームシステムにおける,新規センサの開発や大規模実験については当初の目的通りとはいえない進捗ではあるが,受賞2件,論文誌3件採択,学会発表20件,規模の大きな商品化案件(2件)等,当初の予定よりも倍近い成果を残しているといえる.以上のことから本研究目的については概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年度となり,主に「研究成果の対外アピール」,「教育玩具としての電子楽器システムのあり方をまとめる」の二点を実施する予定である.対外アピールにおいて,ウェブからの情報発信はもとより,研究成果を小冊子にまとめ,本研究の周知浸透を諮る.この他,支援施設等や美術館等で現場での実践に関しても実現する.昨年度までで成果を上げた,触覚電子楽器に関する報告を元に,これら福祉領域への展開を検討・考察し,可能であれば制作・実践を行う.現場での実践に問題が生じた場合,冷温覚に関する規模の大きな実験を行い,基礎論文としてまとめることで研究成果をあげる.
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