2011 Fiscal Year Annual Research Report
両眼視野闘争時の内的知覚の交替現象を利用した全方位視知覚補助装置の開発
Project/Area Number |
22700127
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 文雄 東北工業大学, 工学部・知能エレクトロニクス学科, 講師 (20432289)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 両眼視野闘争 / ユーザーインターフェース / ディスプレイ / 認知科学 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトの両眼に異なる象を与えた際に生じる知覚現象である両眼視野闘争の影響下における視覚刺激の変化により、2つの視覚刺激の優位期間と空間分布が変化する知覚交替を利用した全方位の独立視認を擬似的に実現することを目的としている。研究期間内に、3軸加速度センサと無線通信式の操作インタフェース、頭部着用型のカメラ姿勢制御、両眼独立提示が可能なヘッドマウントディスプレイ(HMD)により構成されるウェアラブルシステムの開発を行った。また、開発装置を用いた両眼独立状態における周囲に設置された目標物探索に関する実験を行うことで、被験者は両眼独立状態でも与えられたタスクに対する要求を満たす視認を行うことが可能であるが、被験者ごとにその探索時間が異なることを明らかにした。平成23年度は、両眼視野闘争の知覚交替特性に影響を与える刺激に注目し、開発装置に対する機能追加を行った。与える視覚刺激は、像の流れ、像のコントラスト、明暗、空間分解能の変化などが挙げられるが、ヒトの場合でも眼球運動において生じるということと視覚行動とも関連が強いことから、はじめに像の流れの変化に着目した。機能追加方法としては、開発システムを制御するためにユーザが手に把持するセンサに対してモメンタリスイッチをとりつけ、ユーザのON-OFF操作によりカメラアングル制御タイミングを調整することを可能とした。これにより、生体の眼球運動にみられるサッケード運動と追従運動と同等の運動の生成をシステムでも実現することを可能とした。また,システムのカメラにより撮影されたユーザへの呈示画像そのものについての視覚刺激を変化させるため、ビデオミキサーを用いることで像の加工を可能とした。以上に、述べるように、擬似的な両眼独立運動状態で視覚刺激をユーザの任意に変化させる基礎システムの開発を行った。
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