2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨岡 亮太 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (70518282)
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Keywords | 機械学習 / 行列 / テンソル / スパース正則化 |
Research Abstract |
カーネル学習法はテキスト,音声,画像,遺伝子などの多種多様なデータを統一的に扱うための枠組みだが,カーネル関数の選択がひとつの重要な課題であった.今年度は第一の成果として,昨年度まで開発してきた双対拡張ラグランジュ法にもとづく高速な学習アルゴリズムが,非常に多数のカーネル関数を組み合わせて学習を行うマルチカーネル学習にも応用できることを示し,論文 (Machine Learning) で発表した.また,昨年度から進めてきた行列および高次の配列(テンソル)に対する凸最適化に基づく系統的かつ効率的な学習法に対する理論解析を行い,現実に観察される相転移現象を理論的によく説明できることを示した.この成果は機械学習の最高峰の国際会議NIPS2011(グラナダ・スペイン)で発表し,大きな反響を得た.また,今年度は東日本大震災の際の福島第一原子力発電所の事故とその後の放射性物質の拡散が大きな社会的関心を集めた.この問題に機械学習の技術を用いて貢献するため,デンマーク工科大学のMorten Moerup 助教と共同研究で,行列およびテンソルに基づくモデリングと確率モデルに基づく推論を組み合わせ,東京電力および文部科学省が公表した放射線量の値から,具体的にいつ,どこに,どれだけの,放射性核種が存在したのかをレトロスペクティブに推定するアルゴリズムを開発した.この成果は国際会議 AI & Statistics 2012(ラパルマ・スペイン)で発表し,大きな反響を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に目標として掲げた低ランク高次テンソルの補完問題に対する理論的な成果は,期待通りの成果が得られた.また,第二に目標として掲げた補助情報や類似度の利用に関しては成果を論文にまとめているところである.また,福島第一原子力発電所の事故後の放射性核種の推定という実社会の問題に対して行列に基づく機械学習を応用し,一定の成果を挙げられたことは大きな励みとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
高次テンソルに対する学習理論およびアルゴリズムの開発を加速する.具体的には,すでに解析が終わっている Overlap ped Schatten 1-norm に基づく正則化法に加え,Latent Schatten 1-norm に基づく正則化法の理論解析を行い,昨年までに実験的に得られた知見と理論解析のギャップを埋める.また,これまでに得られた理論的な成果か ら新たなアルゴリズムを導出する.さらに,Schatten 1-norm より理論的に優れた性質を持つことが知られてい る Max ノルム など他の行列ノルムのテンソルに対する拡張を行う.
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