2010 Fiscal Year Annual Research Report
実世界を利用した情報の抽象化とロボットの自律制御への適用
Project/Area Number |
22700156
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
伊藤 一之 法政大学, 理工学部, 准教授 (90346411)
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Keywords | 抽象化 / 自律制御 / ロボット / ヘビ型ロボット / レスキューロボット |
Research Abstract |
従来の技術では,自律ロボットを家庭などの実環境へ適用することは極めて困難である.これは,ロボットの持つ限られた知覚能力および計算資源を用いて複雑な実世界をいかにして表現するかという問題に起因するものである. 一方,生物に目を向けてみると,生物にとって重要なことは,限られた時間内(実時間)に行動することであり,実世界を少数の主観的かつ汎用な情報で抽象的に表現することでこの問題を解決していると考えられている. 本研究では,この問題の原因が,物理学に基づいて実世界を客観かつ詳細に表現していることにあると考え.従来の物理量を測るセンサに代わる枠組みとして,実世界そのものを情報処理機構として利用することにより,環境から少数の汎用かつ主観的情報を直接計測する枠組みを提案した. 提案した枠組みの有用性を確認するため,その一具体例としてヘビ型ロボットを製作し,実験を行った.その結果,関節のもつ粘弾性およびワイヤーの位置拘束という力学的性質を用いることで情報が抽象化され,多自由度のロボットを僅か2自由度の情報のみで制御可能であることが示された.また,同機構を生存者探索を目的とするレスキューロボットの半自律制御に適用し,左右および前後の簡単な操作によって瓦礫や階段などの複雑な路面を走行可能なロボットの実現に成功した. さらに,同様の機構に強化学習に基づく自律制御系を搭載し実験を行った.その結果,従来手法では実時間での学習が不可能であった複雑な環境においても,比較的短い時間で学習が可能であることが確認され,強化学習への適用においても,提案した枠組みにおける情報の抽象化が非常に有効であることが示された.
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Research Products
(11 results)