2010 Fiscal Year Annual Research Report
局所的適合度景観に基づく進化型多目的組合せ最適化手法の開発
Project/Area Number |
22700158
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 助教 (30511711)
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Keywords | 最適化 / 進化計算 / 多目的最適化 / 組合せ最適化 / 局所探索 / 画像処理 / 雑音除去フィルタ |
Research Abstract |
多目的組合せ最適化問題のパレート最適解集合を効率的に探索するための,多目的遺伝的アルゴリズム(多目的GA)の汎用性の高い交叉手法,およびそれと親和性の高い世代交代モデルを開発することが本研究の目的である.具体的には,複数の目的関数のそれぞれのランドスケープの局所的特徴を考慮した交叉の開発に重点を置き,単一目的の組合せ最適化問題において,汎用かつ強力な交叉である多段階探索交叉を多目的最適化問題に拡張する. 平成22年度は設計空間が単純な多目的NKモデルを対象として,局所探索をベースとした内挿交叉の有効性を検証した.多目的GAで一般的に用いられる一様交叉と比較して,多様性,均一性の優れた解探索が可能であることを示した.多目的GAでは交叉に加え,選択手法も探索性能に大きな影響を与える.ここでは単一目的のGAで用いられる世代交代の枠組みのもと,生存選択に着目し,局所探索における遷移個体の選択に局所的非劣個体選択,次世代の母集団を形成する個体選択にはHypervolumeの差分が最大となるような個体を選択するHV入れ替え選択を採用することで,より多様性を保持した探索が可能であることを示した.一方,収束性については大きな性能向上が見られないため,今後,内挿探索における局所選択のさらなる検討が必要である. また,実際の応用として画像処理における雑音除去フィルタ設計に多段階探索交叉を適用した.本研究で対象としたモルフォロジカルフィルタ設計に用いた目的関数ではAR(1)ランドスケープの特徴が観測された.AR(1)ランドスケープで有効な探索が可能な多段階探索交叉を交叉手法として適用することにより,より性能の高いフィルタが設計できることを示した.フィルタは単一目的の関数で設計したが,雑音除去性能および原信号保存性能にはトレードオフの関係がある.今後,多目的に拡張した多段階探索交叉を適用し,これらを同時に最適化する設計手法についても検討する予定である.
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