2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 規泰 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70436591)
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Keywords | 昆虫 / 嗅覚 / 視覚 / ブレインマシンインターフェイス / 匂い源探索 / 複数感覚統合 / ロボット / 適応性 |
Research Abstract |
駆動系に外乱(左右非対称なモータ回転)を加えた雄カイコが操縦するロボット(昆虫操縦型ロボット,昆虫BMI)は,外乱を補償して雌性フェロモン源を探し出すことができる.これは昆虫の持つ適応性の一つであり,この補償をもたらす感覚情報や行動発現系ついて,詳細な解析を実施した.補償に必要な感覚情報として,視覚情報(オプティックフロー)と左右の触角が受容する匂い情報(ステレオ嗅覚)を仮定し,この二つの感覚が行動に強く影響を与える状況を昆虫BMIで設定した.昆虫はオプティックフローを受容するとその方向へ旋回し,これを打ち消そうとする視運動反応を行う.操縦する昆虫の左右の旋回入力を反転させてロボットを動作させることで,視運動反応を繰り返し旋回し続ける行動が期待できる.同様に,昆虫の触角が受容する左右の匂いの流路を反転させることで,匂い濃度が高い側へ旋回するステレオ嗅覚に基づいて,ロボットが旋回を続けることが期待できる.実験の結果,予想通り左右のモータ制御の反転に対し,ロボットは一方向への旋回を続け,視運動反応が確認された.嗅覚入力の左右反転についても,旋回し続ける傾向が観察された.次にこの左右への方向制御を司る2つの感覚が拮抗的なものであるかを確認するため,モータ制御と嗅覚受容をともに左右反転させたところ,視運動反応による旋回運動がステレオ嗅覚で打ち消されることが確認された.以上から,この2つの感覚が同時に作用することで,外乱を補償し,安定した匂い源探索を実現していることが示された.一方,オプティックフローの効果を行動実験で確認したところ,カイコガの匂い源探索行動の基本要素である直進(匂いの追跡)および旋回(匂いの探索)の2つの行動フェーズのうち,直進のフェーズのみ作用することが示された.これについては感覚統合モデルを作成し,その機能について今後評価する予定である.
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Research Products
(4 results)