2011 Fiscal Year Annual Research Report
概念表象の異なる認知主体によるシンボルコミュニケーションを通した共通理解の獲得
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22700202
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 淳二 筑波大学, システム情報系, 研究員 (20456685)
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Keywords | 知能ロボット / 異種ロボットコミュニケーション / 写像推定 |
Research Abstract |
本研究では、新奇対象物を自己の身体性に基づいて定義する知能ロボットの知覚アーキテクチャの構築と、そのような複数のロボット間での知識共有化アルゴリズムの開発という二つの目標を立てている.知覚アーキテクチャの構築では、自身の環境への働きかけ(移動)に対する環境から受け取る刺激(センサ入力)の変化を捉えることが重要であり、行為と知覚の循環系を構成しうる物理的身体を持つ知能ロボットが必要である.知覚は画像から、移動はホイール機構を選択している.昨年度より構築していた画像取り込み系では、カメラ処理速度、画像グラバ処理速度が60fpsの性能を満たしていても、画像処理プログラムが複雑になりCPUへの負荷が大きい場合には、入力のフレームレートが10fps以下へと落ちてしまうという問題があった.これは公称転送速度480Mbpsであるが、CPU負荷によって転送速度が落ちてしまうUSB2.0規格を利用していたためであることがわかった.そこで、転送速度がCPU負荷の影響を受けない、ieee1394カメラを利用し画像処理プログラムが複雑化した場合でも必要なフレームレート維持される画像取り込み系を構築した.一方で、ロボットの移動機構は全方向に移動可能なオムニホイール台車を選択した.移動機構と画像取得系はLinux上のマルチスレッドプログラムで接続され、画像のオプティカルフローとロボットの移動量から対象物の距離を推定し、立体的な対象物の表象を獲得する実験を行っている.また、得られた表象を既に獲得した表象と比較し、新奇物体かどうかを判定する実験も行っている.センサ信号のみからボトムアップに新奇対象物かどうかを判定する仕組みは知覚アーキテクチャの根本を成すもので重要であり、実験的に正当性・有用性を示し、学会論文として投稿する準備を進めている.知識共有化については、知覚と伝達を同時に扱うD・スペルベルの関連性理論を基に捉えなおす必要がある.「認知プロセスは関連性の最大化に向けて調整が行われる」といった原理を実機ロボットへ応用を検討している.
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