2011 Fiscal Year Annual Research Report
場の雰囲気を読むチャットシステム~多重レイヤーによる雰囲気と非言語情報のモデル化
Project/Area Number |
22700215
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
伊藤 淳子 和歌山大学, システム工学部, 助教 (30403364)
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Keywords | 対話 / 雰囲気 / 非言語情報 / エージェント / モデル化 / 顔文字 |
Research Abstract |
本研究は,人にやさしいインタフェースを備えた「場の空気を読める」チャットシステムの開発を目指す.ネットワークを介したコミュニケーションにおいて場の空気を理解・共有し,対面対話のように自分と対話相手の感情を伝えあえるような仕組みを実現するために,ユーザの発言に含まれる感情語や顔文字などをもとに対話の雰囲気を推測する.そして,ユーザの分身となるCGキャラクタが表出する表情や視線などといった非言語情報を,その雰囲気が再現されるよう自動的に制御することを目標としてシステムの開発と複数の調査を行い,以下の成果を得た. 1.対面対話中に,非言語情報をタッチ操作で入力し表示できるテーブルを使用して,会話とその雰囲気にどのような影響を与えるか,さらに,その中に初対面者が含まれる場合について調べた.その結果,非言語情報の利用が,対面での対話であっても話すきっかけを作り一定の雰囲気を保つように働くことがわかった.初対面者が含まれる場合は含まない場合の2.0倍と,特にその傾向が見られた. 2.遠隔地にいる他者とネットワークを介して,文字や絵を用いて日常的な事柄を非同期的に伝えあうことのできるシステムを作成し,交換されたメッセージについて分析を行った.使用機器は顔文字入力の補助ツールが豊富な携帯電話端末とした.交換されたメッセージのうち16.7%について顔文字が使用され,動作や感情を補う目的に使われており,前年度のチャットに関する調査と同様,基本8感情のうち「歓喜」や「愛慕」に分類される顔文字が多数を占めた. 以上を踏まえ,個人適応可能なチャットのプロトタイプシステムを構築した.通常のテキストチャットと比較し,テキスト入力の他に必要となる顔文字等の入力と出力される映像に対して負荷を感じず,会話を続けられることが確かめられた.今後はこの結果について定量的な分析を行う.
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