2010 Fiscal Year Annual Research Report
「睡眠の質」を表す感性語と生体信号との関連性の基礎的検討
Project/Area Number |
22700217
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊賀崎 伴彦 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (70315282)
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Keywords | 睡眠の質 / 感性語 / 生体信号 / REM / δ波 / β波 |
Research Abstract |
心理学的評価による「睡眠の質」を表す感性語と,生体信号の定量的解析による生理学的評価とを結び付けることを研究の目的として,当該年度は,心理学的指標と生理学的指標の関連付けを行うためのベースとたるデータの収集とその解析および評価のスクリーニングを行った. 「睡眠の質」を変化させる環境因子として,本研究課題では枕に着目した.枕は被験者が普段使用している枕(1夜目・2夜目)プラスティック製パイプのつまった枕(3夜目),低反発ウレタン製枕(4夜目)の計3種類を準備して,睡眠ポリグラフを計測し,それを6人について行った(1夜目は第1夜効果を考慮したコントロールとして,被験者が普段使用している枕を指定). 心理学的データの収集としては,各実験夜が終了するごとに,被験者には5段階感性評価(1(悪質な睡眠)~5(良質な睡眠))による睡眠の主観的評価を行ってもらった.睡眠ポリグラフによる計測データからは,専門の知識を有する医療従事者に助言を求めながら睡眠ダイアグラムの作成した.これより,各睡眠段階が現れるまでの時間や,各睡眠段階が出現する合計時間などの睡眠パラメータを得た.また,脳波に対して周波数領域での解析を行うことで,生理学的指標とした. その結果,「心理学的指標と最も強い相関をもつ睡眠パラメータは,就寝後,はじめてREM睡眠が出現するまでの時間(第1期REM到達時間)である」こと,「脳波を周波数解析することで第1期REM到達時間に準ずる値が得られないか試みたところ、δ波帯域およびβ波帯域の変動から推定することができる」こと,が得られた. 以上より,脳波より第1期REM到達時間を推定することで,睡眠の質を表す感性語と生体信号との関連性の評価を客観的に行える可能性が示唆された.
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