2011 Fiscal Year Annual Research Report
背景色と照明色の変化に伴う液体の色知覚変化についての包括的測定とモデル化
Project/Area Number |
22700218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳永 留美 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (80573914)
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Keywords | 感性情報学 / ソフトコンピューティング / 認知科学 / 実験系心理学 / 色彩情報処理 |
Research Abstract |
私達は生活の中で、飲料水や食品、化粧品などのような液体を扱う事が多い。これまでに固体である物体表面の色知覚に関しては、多くの研究が成されてきた。しかしながら、実物を用いた液体の色知覚に関しては、条件の制御などが困難な為、体系的な研究は成されていない。そこで本研究では、実空間において、照明光の色が変化した際の透明液体の色の印象評価を心理物理手法によって調査した。実験では赤、橙、黄、黄緑、緑、青、ピンク、紫、無色透明の9色の液体を刺激として、それが赤、黄、緑、青、紫、D光源とA光源に相当する照明光の7色のいずれかで照明される条件を設定した。被験者は、各照明光に順応した後、エレメンタリー・カラー・ネーミング法により液体の見えの色を判定した。この手法により、液体を照明する光色の変化による液体の色の変化を定量的に示すことが可能となる。解析には、被験者が透明と応答した液体の判定結果を使用した。結果から、例えば赤色液体が赤色照明で照明されるように、液体と照明が同じ色の場合に、彩度が低下して知覚されることが分かった。また、照明光色の変化によりxy色度図上ではほぼ同じ値(例えば、青色照明の下の黄色液体と黄色照明下の緑の液体)を示しても、知覚的には異なっていることが示された。これは、同じ物理特性を持つ刺激に対して、我々の視覚系が照明光色を差し引いて液体の色を見ている事を示している。本実験条件のような実環境おいては、物体色表面ほどではないが、人が液体の色に対しても色恒常性を示すことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
視覚刺激である液体の色の選択と結果の分析に時間を要している。解析では、特に液体や照明光の物理的な特徴と判定された見えの色との比較に関して、色空間の選定が問題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画の刺激条件として,有彩色の乳濁状態の液体を設定する予定であったが,物理特性の設定が不安定であるため,刺激条件設定から除いた.
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Research Products
(8 results)