2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模データに適用可能なマルコフ確率場の学習アルゴリズムに関する研究
Project/Area Number |
22700232
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 新一 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20379530)
|
Keywords | マルコフ確率場 / 詳細釣り合い / Contrastive Divergence Learning / 変分ベイズ推定 / 因子化過程 |
Research Abstract |
本研究では、高次元のマルコフ確率場の学習・推論アルゴリズムの改良を目的としている。 その学習アルゴリズムとして、近年、Contrastive Divergenceアルゴリズムが注目されているが、コスト関数が不明確であり、アルゴリズムの収束性などはよく調べられていなかった。 このアルゴリズムについて、詳細釣り合い条件を満たす学習則として解釈可能であることを前年までの若手研究(B)(課題番号:19700219)について見出していたが、これを一般のマルコフ確率場における学習則として一般化した形でDetailed Balance Learningとして定式化し、実際にボルツマンマシンの学習においてシミュレーションを行いその収束性について検討し、学会発表を行った。 一方、推論アルゴリズムに関しては、ベイズ推定においては事後分布を独立な分布として近似する方法(因子化仮定)が広く用いられているが、変数間の相関を表現できないなどの表現能力に制約があった。そこで、この事後分布を独立な分布の混合分布として定式化することを試みた。この結果について、学会発表を行った。また、医用X線CTにおいて、限られた投影数から断層像を再構成するという不良設定性が問題を解決するために、真の断層像が画素ごとに既知の組織(筋肉、脂肪、骨など)からなることを想定し、これらをマルコフ確率場で表現するモデル化を提案し、その近似推論を行い、性能を確認した。この研究から、計算の困難な高次元のマルコフ確率場を導入しても、近似推論を行うことで有用な推論が得られることが確認された。
|