2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700238
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高坂 拓司 大分大学, 工学部, 准教授 (80320034)
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Keywords | 衝突振動 / 周期的に変化する境界 / 機械振動 / 分岐解析 / カオスアトラクタ / 区分的に滑らかな系 |
Research Abstract |
前年度の成果をふまえ、以下を行った: 1.汎用的な数学的表現と分岐点追跡手法の確立 本研究で扱う系は4種類に分類される。それぞれに関して解析を行う上で核となるPoincare写像の構成法が異なるため、まず各々の数理的な違いを考察した。次に、先に我々が提案した手法を応用し、固定点および周期点の位置、特性乗数、分岐点の導出を行い、1周期点に適用可能な分岐点計算法を可能にした。また、この種の系系特有の分岐であるgrazing分岐の分岐点追跡手法も提案した。 2.実験系によるがた系の再現および検討 がた系はかみ合いに間隙を有する系であり、歯車やねじ等が挙げられる。Luoらは、歯車を模擬した二質量衝突振動系のモデルを提案し、系に見られる衝突現象を数値シミュレーションに基づき議論した。しかし、同モデルの実験的検証及び分岐解析は未だ不十分であった。そこで本年度、歯車を模擬した二質量衝突振動系の実装を行い、その定性的性質について検討した。また、質点の時系列波形および2次元分岐図を用い、本系にみられる分岐現象について議論した。 3.より現実的な安定性解析手法の検討 昨年度、今年度と衝突振動系の解析手法を検討するうえで、Jacobi行列を計算する際に必要なPoincare写像の合成および変分方程式の導出が煩雑であることがわかってきた。そこで、解の摂動に注目して安定性解析を行うことができる理論を展開し、安定性解析手法の拡張を検討した。まず、系の安定性を計算するため、モノドロミー行列を導出した。次に、状態遷移行列を用いて衝突を伴う解の摂動を定義した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周期的に変化する境界を有する機械振動系に対して、下記を明らかにすることが研究の大きな目的であった(1)系特有の分岐現象を解明する(2)分岐点計算手法の確立(3)境界の形状の違いが系に及ぼす影響。(1)に関しては、数学的準備が終了しており、次年度計算機実装により確認を行えば良い。(2)に関しては、今年度の成果により1周期点の分岐点は計算可能となり、拡張の見通しはたっている。(3)に関しては、受動的に変化する境界を有する系の適用例としてがた系の実装は終了しており、昨年度提案した安定性解析手法を適用できると予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度を念頭に、最終年度では以下を推進する: (1)m周期点に適用可能な分岐点計算手法の確立 (2)系特有の分岐現象の解明 (3)境界が運動方程式を持つ場合、系はどのような挙動を呈するのかを解明 研究計画の変更点問題点はとくにない。
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Research Products
(17 results)