2012 Fiscal Year Annual Research Report
内部ダイナミクスを持つ動的認知主体群によるルールダイナミクスの創発とその安定化
Project/Area Number |
22700242
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 尚 沖縄工業高等専門学校, メディア情報工学科, 助教 (70426576)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 動的認知主体 / 内部ダイナミクス / 自己影響結合付き再帰ネットワーク / ルールダイナミクス / Multi-Group Multi-Game / N人版繰り返し囚人のジレンマゲーム / Minority Game / ミクロマクロ・ループ |
Research Abstract |
本研究は、複数のルールの複雑な集合によってそれらの安定性が生じるというNorth(1990)の主張に着目し、ルールダイナミクス(マクロレベルで創発する制度等のルールの動的な変化)の安定化のための条件を明らかにすることを目的とする。 前年度は、単一集団内で異なる複数のゲームをプレイするモデルを提案し、実験を行った。異なる複数のゲームとしては、ルールが不安定化しやすいMinority Game(以下MG)と逆に安定化しやすいN人版繰り返し囚人のジレンマゲーム(以下NIPDG)を採用した。実験結果から、複雑なルールと単純なルールを同時に順守させるような制度設計をすることにより、社会全体の安定化に繋がる可能性があることが示された。 より現実的なモデルで議論するため、今年度は、前年度のモデルを多集団版に拡張したものを提案し、集団間相互作用がルールダイナミクスに与える影響を調べた。前年度の実験と同様、NIPDGを組み合わせることでMGの不安定性を抑えられることが確認された。また、プレイするゲームがNIPDGよりも全体的にMGの方が多い場合、主体達の集団間移動頻度を少なくするにつれてルールダイナミクスが安定化することが分かった。 前年度の研究において、MGでも初期ステージでは単純なルールを形成しやすいことが確認されている。主体は複数の異なるルールを同時に学習して内部に取り込み、そして、それらを内在化する。集団間移動頻度を少なくすることは、上述の初期に獲得した単純なルールを各主体の内部で定着させ、マクロレベルのルールダイナミクスを更に安定化させるポジティブフィードバック効果があると考えられる。このように、ミクロとマクロの両レベルを解析することにより、ルールダイナミクスを安定化させるための条件の一端を明らかにできたことは、ルールの形成・変化メカニズムを解明する上で非常に意義あることである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)