2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700245
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 真紀 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (80448018)
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Keywords | 新約聖書 / 計量分析 |
Research Abstract |
本研究は、聖書学におけるギリシャ語新約聖書の主要な校訂本を対象にして、写本の異読情報を付帯した意味ネットワークを構築し、グラフ理論に基づいたネットワーク分析を適用する。複雑な校訂本の体系をネットワーク構造として捉えることで、従来の文献学の方法論では困難であった校訂本の影響関係や写本の選択傾向を計量的に分析し、諸校訂本の比較を行うことを目的としている。 平成23年度は、本研究の手法の汎用性を示すために、研究対象の新約聖書とは異なるテキストを使用して、語彙の特徴度指数による文書の特徴分析を行った。対照テキストとして,ヴィクトリア朝の女性向け定期刊行誌であるEnglish Woman’s Journal を用いた。そして,同じテーマを扱っている項目にを対して,多変量解析から分類される文書ならびに単語間の類似性を調べた。本研究の試みは、English Woman’s Journal の語彙特徴を,多変量解析やネットワーク分析を組み合わせながら抽出する手法の有効性を示している。 ギリシャ語新約聖書の校訂本研究に関しては、異本比較研究のための使用容易なツールを開発を中心に進めた。統計手法の応用研究は、ギリシャ語新約聖書の代表的な近代校訂本間の類似・相違点を明確に表す指標として、テキスト分割アルゴリズムを適用させた。校訂本比較研究の予備調査には,近代校訂本中から2 書に限定して,マルコ福音書における校訂本間の類似比較を行った.同時に,類似性を表す統計値とTEI エンコード方式を使用して作成したディジタル批判本を組み合わせた簡易比較ツールを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画と比較して、比較対象のテキストの数が少ないものの、統計手法の応用研究を計画通りに進めることができた。さらに、同種の別テキストに本研究の手法を適用することで方法論の有用性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究計画が円滑に行えるように、研究の実績報告を関連学会、研究会等で発表報告を積極的に行い、研究のフィードバックを得ながら進めていく。
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