2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22700246
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小泉 公乃 慶應義塾大学, 文学部, 助教 (70567461)
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Keywords | 図書館経営 / 経営戦略 / 経営組織 / 非営利組織経営 / 図書館情報学 / 事例分析 / 日米の比較分析 / 図書館経営理論 |
Research Abstract |
(1)本研究の目的,意義と重要性 これまでの図書館経営の研究領域では,重要である経営理論研究に,海外のごく少数の研究者を除いては,誰も着手してこながった。このことから,図書館の実務の領域における図書館の管理者は,実務が記述された教科書を参考にするか,目的が異なる営利組織の経営理論を参考にするしかできなかった。本研究は,図書館経営の「成立条件」と「理論構築」を目的としている。この目的を達成することで,図書館経営の研究領域が活発化することが予測され,実務の領域においても理論が適用される可能性も高まる。 (2)研究の内容 平成23年度は,前年度の事例調査を基礎に先進的な米国の図書館経営の事例を積み上げることを目的にさらに調査と分析を進めた。具体的には,(1)文献調査(図書館の経営現場で用いられた内部資料による調査),(2)図書館経営者へのインタビュー調査,(3)上記(1)と(2)から得られたデータに基づいた事例分析を実施した。追加で調査を行った図書館は,プリンストン大学図書館,プリンストン公共図書館,コロンビア大学図書館,ニューヨーク大学図書館,ニューヨーク公共図書館である。そして,これまでの事例を対象に総合的に分析を進めた。 (3)得られた成果 主要な結果として,1)日本と米国の図書館に固有の組織形態と業務の一部が明らかになり,2)図書館は主として情報技術の変化によって組織形態と業務を大きく変革し,3)パブリックサービスとテクニカルサービスが図書館の中核的業務であることがわかった。そして,4)図書館における4つの基本戦略と7つの個別戦略を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,日本と米国の事例の収集をおおむね終わらせることができている。また,収集した事例に基づいた研究も進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,日本と米国の図書館を対象に行った調査で収集したデータを整理した上で,さらに分析を行う。そして,その分析の結果を基礎に図書館経営の「成立条件」と「理論構築」をする。また,これに併せて,図書館の経営理論構築の手法を確立する。具体的には,営利・非営利組織の経営理論の比較から各経営理論の特徴を明らかにし,図書館経営の理論構築手法にして応用することで,図書館の経営理論構築手法を導き出す。
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