Research Abstract |
2010年度は,関連文献の収集・整理を行ない,さらに,特にモロッコ王国の教育と図書館の事情,国際的な児童書出版・流通の現状についての理解を深めるため,次の3つのインタビューを行った。1)早稲田大学イスラーム地域研究所所属のモロッコ研究者の佐藤健太郎氏に,ダーウード図書館(Biblioteca M.Daoud)でのご経験と,現地の文化,教育,図書館とメディアについてうかがった。;2)佐藤氏へのインタビューをとおして,アフリカ大陸の地中海沿岸のイスラーム文化圏への理解を深めることが不可欠であると気づいたことから,同志社大学文学部所属のイスラーム史研究者の堀井優氏に関連して広くお話をうかがった。;3)異文化で生まれた出版物の受容について,戦後,日本の絵本を海外に輸出する活動を精力的に行ってこられた,日本著作権輸出センター創業者の栗田明子氏にうかがった。 これと同時進行で,モロッコ王国のユネスコ事務所の伊藤美沙子氏に協力をあおぎ,現地の調査協力校の確保にあたった。しかし,数ヶ月努力したものの,教育省や学校から日本人が調査の許可を得ることは容易ではないことがわかり,まずは現地人の協力者を見つければならないという結論に至った。そして,11月下旬にラバトを訪問し,伊藤氏の紹介で,現地の日本大使館,JICA事務所,情報大学(Ecole des Sciences de l'Information)を訪問。研究の趣旨の説明とインフォーマルなインタビューを行った。最終的に,第二言語としての英語の教育,読解力の研究者である,情報大学助教授のNajia Abdallaoui Maan博士と,共同研究の契約を結ぶこととなった。この研究協力者探しと平行して,現地で,公共図書館,国立図書館,専門図書館を訪問した。以上の経過については,ブログを使って,現地から即時に報告を行った。 帰国後は,Abdallaoui Maan博士と研究計画の練り直しを行い,先行研究の調査,活用する絵本の選定等の作業に着手した。
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