2010 Fiscal Year Annual Research Report
正立方体の持つ情報表現力の開拓とその社会的活用法に関する研究
Project/Area Number |
22700250
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
斎藤 進也 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (70516830)
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Keywords | 可視化 / 社会情報システム / 情報デザイン / 図的表現 / キューブ |
Research Abstract |
本研究の目的は、立方体が潜在的に持つ情報表現力を開拓し、大量の情報を格納する「コンテナ」と「情報表現ビュアー」を構築すること、およびその社会的活用方法を提示することである。この目的に対し、独自に着想したKACHINA CUBEシステムを開発・運用するなかで、実践的な成果を提出していく。平成22年度は、1)システム面の改良と機能追加、および2)「裁判過程の可視化」に力点をおき研究を進めた。 1)については、「立方体型情報ビュアー」において立方体をより柔軟に操作できるように三次元グラフィックの改善をおこなったほか、初心者でも無理なく使用できるようUIの改良をおこなった。また、今後、複数のプログラマーによる開発を容易にするため内部的構造のリファクタリングをおこない、大幅に拡張性を向上させた。 2)については、法学者、心理学者、弁護士らとのネットワーク構築を継続していくなかで、いくつかの実験的システム運用をおこなった。裁判員制度の導入にともない検察や弁護士といった専門家だけでなく、一般の市民も被告人の供述などの裁判過程で発生する大量の資料を解釈しなくてはならない状況が生じており、そうした人々が多量の資料を解釈する際の支援ツールとして、KACHINA CUBEに対する期待が高まっていることが確認された。加えて、実用的な情報システムの構築には、実際に裁判を抱えている弁護士団との連携が不可欠であることが明らかになった。これを踏まえ、実際に裁判を抱えている弁護士団等のニーズをもとにした機能実装をおこなうこととした。学術的なアウトプットとしては、情報系の国際会議において3度の研究発表をおこなったほか、法学系の研究会での報告を1度おこなった。また、オーストラリア・シドニー大学に2ヶ月間滞在し、ビジュアライゼーションについての共同研究をおこない、今後、本研究を国際展開させるための土台を構築した。
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