2010 Fiscal Year Annual Research Report
モバイル・マネートランスファー・サービスがケニア社会に及ぼす影響
Project/Area Number |
22700254
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
羽渕 一代 弘前大学, 人文学部, 准教授 (70333474)
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Keywords | ケニア / 移動 / 電子マネートランスファーサービス / 携帯電話 |
Research Abstract |
本研究ではケニア社会におけるモバイルメディア利用の調査をおこなっている。22年度は新たに2社の通信事業者が参入しており、携帯電話利用状況について実証的な調査データを収集することができた。とくにケニアでは、2000年代を通じて急速に携帯で電話が普及してきたため、社会福祉サービスが十分でないケニア内周縁地域において、共同体的利用に役立てること、干ばつによる経済的困窮状態において、家畜ビジネスに利用すること、レイディングや紛争におけるセキュリティ確保、相互扶助に役立てている様が確認された。 都市部においては、通信事業者、4社すべてのサービスをその特性に応じて使い分ける利用者について知見が得られた。当該社会においても、モバイルメディア利用は成熟期に到達しており、サービス競争の激化や顧客管理に苦心するサービス事業者の状況がある。またモバイルマネートランスファーサービスについても、ますます利用者層を拡大させていた。 また難民や牧畜民の金銭のやりとりはますます増大しており、そのトラフィックは複雑性を増しているように思われる。そのなかで、親密性のありようがそのまま経済的な貧富と結びつくような状況が仮説として得られた。人間関係ネットワークを広くもつ人間が富裕化し、関係スキルの貧困な層でますます経済的困窮に陥りがちであるという傾向は、先進国でも報告されている状況と重なるものがある。この仮説をもとにして、23年度では金銭のやりとりとコミュニケーションのやりとりの方法について、さらに詳しく調査をする予定である。
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