2011 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリの映像的表現とロボットの語意獲得への応用
Project/Area Number |
22700272
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾関 基行 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (10402744)
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Keywords | ワーキングメモリ / 語意獲得 / 注意 / 機械学習 / 人工知能 |
Research Abstract |
本研究の全体構想は,ロボットに組み込んだワーキングメモリの中身を映像的表現(心象映像)によって他者に伝える"シースルーワーキングメモリ"というコンセプトを提案し,人とロボットの新しいコミュニケーションの可能性を探るとともに,ワーキングメモリを視聴して確かめるという新しいアプローチによって心や意識の研究に取り組もうとするものである.本研究課題では,(1)Pearsonのワーキングメモリモデルをロボットに実装し,人に伝わりやすい形で映像的表現し,(2)ロボットの語意獲得を例題として,シースルーワーキングメモリの有効性を示すことを目標とする.2011年度は,シースルーワーキングメモリの実装の改善を行った.具体的には,注視した物体を背景から抽出する手法をSnakeからGrabcutに変更し,物体の同定手法を色ヒストグラムに基づくものから局所特徴量(SURF)に基づくものに変更した.また,2010年度まではシースルーワーキングメモリに表示する内容は注視した物体だけであったが,長期記憶から呼び出したものも表示できるように進展させた.長期記憶への呼び出しは,ワーキングメモリに同時期に含まれていたという共起性のみを用いた単純連想によるものであったが,そこからロボットにとって有益な情報が得られる可能性が実験によって示された.単純連想によって長期記憶の情報をバックグラウンドで集めておくというアイデアは,人工知能における情報検索の新しいアプローチともいえる.また,シースルーワーキングメモリを用いた語彙獲得については,視覚的注意モデルを搭載したロボットを実際に動かし,いくつかの基本的なタスクにおいてワーキングメモリにどのような物体が記録されるかを調査した.こちらについては引き続き視覚的注意モデルの改善が必要とされる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
視覚に関するワーキングメモリに焦点を絞ったため,交付申請書に記載した研究目的に対してはやや遅れているが,視覚に関する目的の一部については当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度に引き続き,交付申請書に記載した目的のうち,視覚に関するワーキングメモリに焦点を絞って進めていく.研究は,心象としてみせるための映像表現の評価と,連想に基づいたワーキングメモリへの視覚情報の呼び出しに分け,それぞれ修士課程の学生を割り当てて進めていく.また,シースルーワーキングメモリの入力として重要となる視覚的注意モデルについても奥行き情報を利用することで大幅な改善を図るアイデアを実行に移す予定である.
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