2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のメタ記憶と記憶機能のパラドックスの解明ー新たな認知訓練の開発を目指してー
Project/Area Number |
22700275
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
増本 康平 島根大学, 法文学部, 講師 (20402985)
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Keywords | 高齢者 / メタ記憶 / 記憶 / モニタリング / 学習容易性判断 / 確信度評定 |
Research Abstract |
これまでの研究は,高齢者は自身の記憶能力を適切に評価することが困難であり,記憶に対する評価(メタ記憶)と実際の記憶成績が乖離していることを報告している。実際の記憶機能とメタ記憶の乖離は,加齢による記憶機能の低下に対する自発的な対処を阻害する原因となり,また,必要以上に自身の能力を低く見積もることが自尊心の低下を引き起こし,社会的引きこもりにつながることも示唆されている。では,記憶能力を適切に評価できる高齢者と,記憶能力と評価が一致しない高齢者とでは何が異なるのだろうか? 本年度はメタ記憶の中でも,記憶課題遂行時の容易性判断や,記憶想起時の確信度といったモニタリングに着目し,高齢者が記憶課題の成績を適切に予測できているのかどうか検討を行った。 高齢者40名に対して実験を実施した結果,高齢者が行う記憶課題遂行時の成績の予測(モニタリング)は,実際の記憶成績より低いことが示された。一方で,記憶成績とモニタリングには正の相関が認められ,容易性判断や確信度が高い程,記憶成績が良いことが示された。これらの結果から,課題遂行時のモニタリングにおいて,高齢者は自身の能力を過小に評価するが,課題の難易度は適切に評価していることが明らかとなった。 次年度以降は,記憶に対する自己効力感に着目するとともに,本年度のデータからメタ記憶と記憶成績が乖離していた高齢者を抽出し,そのような高齢者の認知機能にどのような特徴があるのかを検討する予定である。
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Research Products
(3 results)