2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700278
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
青山 敦 東京電機大学, 総合研究所, 助教 (40508371)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 計測工学 / 生体生命情報学 / 認知科学 |
Research Abstract |
外部環境から分散的に取得した異種感覚情報を脳内で複合的に処理する能力は,人間が外部環境を効率良く把握し迅速に対処する上で必要不可欠である.平成24年度においてはこの異種感覚情報処理について,平成22年度に検討した「異種感覚刺激の変化と早期脳活動の関係(刺激⇔脳)」と平成23年度に検討した「早期脳活動と行動結果の関係(脳⇔行動)」を総合し,刺激入力から行動に至るまでの一連の過程を詳細に解析して,異種感覚情報処理の迅速性や適応性の本質に関する検討を行った(刺激⇔脳⇔行動).具体的には,視聴覚刺激の複合的な対応変化に対するボタン押し課題下での脳磁界計測実験と解析を推し進め,特に平成23年度に明らかになった実験的知見(視聴覚情報に僅かな時間差が存在する際には,視聴覚の対応変化に対するボタン押しの約500msも前に視覚野と聴覚野で変化を検知しているという知見)の背景に存在する脳律動に注目して解析を行った.時間周波数解析の結果,変化前の視聴覚情報の差区間では,θ帯域(4-7Hz)とα帯域(8-13Hz)の活動増大が見られ,変化後には,差区間での活動に依存したθ活動の増大と依存しないα活動の減少が後頭側頭部で見られた.またθ活動の増大の直後に視覚野と聴覚野の誘発活動(前述の変化検知に関わる活動)が開始し,その後α活動が減少して,ボタン押しが行われることが分かった.変化後のθ活動の増大は,予測の棄却と更新による再構成処理を反映している考えられる.従って低周波帯域を用いた感覚間の予測的な相互情報伝播機構が,異種感覚情報処理における迅速性や適応性を実現していることが分かった.単一感覚処理や感覚統合障害の知見と総合すると,異種感覚情報処理は単なる単一感覚処理の和に基づく上位集約的な処理ではなく,感覚間で予測的に情報をやり取りする下位連携的な処理でもあることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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