2010 Fiscal Year Annual Research Report
時系列データ解析におけるノンパラメトリック手法の研究
Project/Area Number |
22700291
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小方 浩明 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 助教 (30454086)
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Keywords | 安定分布 / 分位点 / 一般化経験尤度法 |
Research Abstract |
裾の重い分布、その中でもとりわけ安定分布に対する推定問題を考えた。まずは多次元楕円型分布族(安定分布にも成り得る)に対して、そのパラメーター推定を、分位点を用いた方法で与えた。共分散に対応するパラメーターについて情報を持つ分位点を提供したことが本研究の大きな貢献である。この推定方法を世界の22の市場データに対して適用した。市場データは「アメリカ地域」、「ヨーロッパならびに中東地域」、「アジアならびにオセアニア地域」の3つに分かれるが、それぞれの地域内での相関が、また「アメリカ地域」と「ヨーロッパならびに中東地域」の相関が高いことが分かった。 次に多次元安定分布に対して、そのパラメーター推定を考えた。安定分布は(いくつかの分布を除いて)一般に分散を持たず、また陽な形で密度関数が書けないため、通常のモーメント法や最尤法たどを適用することが因難である。本研究では特性関数を用いて推定関数を構築し、さらに一般化モーメント法よりさらに広いクラスである一般化経験尤度法を用いることでパラメーターの推定を行った。 また、安定分布を資産のリターンに適用して、年金運用の最適ポートフォリオを考察した。ここでいう「最適」とは、ある一定期間後の額がある水準を下回るようなリスクを最小にするという意味である。「国内債券」、「海外債券」、「国内株式」、「海外株式」のうち、「国内債券」に比重を置けば比較的安定した運用が見込めるという結果をシミュレーションによって得た。
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