2011 Fiscal Year Annual Research Report
時系列データ解析におけるノンパラメトリック手法の研究
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22700291
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小方 浩明 早稲田大学, 国際教養学術院, 助教 (30454086)
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Keywords | 時系列解析 / 楕円分析 / 最適ポートフォリオ |
Research Abstract |
本年度の第一の研究目的は、安定分布などの裾の重い分布を伴う時系列モデルの、パラメーターの推測方法を確立するというものであった,安定分布は分散や平均を持たないような場合があり、通常のモーメント法を適用することはできない。また密度関数の形もごく一部しか知られておらず、最尤法を適用することも難しい。そこで我々は理論的分位点と経験的分位点をマッチングさせる方法によってパラメーターを推定することを研究してきた。2012年3月にベルギーに共同研究者を訪ねたが、そこで従属過程のもとでのエンピリカルプロセスの漸近的性質について話し合い、この研究の理論的基礎の輪郭が見えてきた。 またもう一つの研究目的として、暗系列モデルによる最適ポートフォリオ推測を行うというものがあった。対数収益率過程を定常過程と想定し、ノンパラメトリック推定法の一つである一般化経験尤度法を用いてその最適ポートフォリオを推定する方法を提案した。具体的に「最適ポートフォリオ」を収益率の分散を最小にするような資産配分と定義し、分散をスペクトルの言葉で表現し、周波数領域での一般化経験尤度法を適用した。この結果は論文にまとめられ、現在投稿中である。 また当初予定はされていなかったが、時系列モデルにおけるコピュラの推定法について研究を開始した。定常過程の設定の下、推定関数を用いてそれぞれの成分の分位点とコピュラを同時に推定することを考察し、推定量の漸近的性質を調べた。この結果は2012年3月に早稲田大学で行われた科研費シンポジウムで発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
裾の重い分布やゆがみを持つ分布を伴う時系列モデルに対する推測について、共同研究者との議論を行い、時系列モデルにおけるエンピリカルプロセスの漸近的性質などの理論約枠組みが描けてきた。また時系列モデルによる最適ポートフォリオ推測に関しては研究結果がまとまり、雑誌に投稿した。これらを鑑み、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き裾の重い分布やゆがみを持つ分布を伴う時系列モデルに対する推測に関する研究を行う。エンピリカルプロセスによる推定方法の理論的枠組みを整備し、実際に推定がうまくいくかのシミュレーションを行い、実データへの応用を考えていく。研究計画に記述した時系列モデルにおける変化点問題も取り組んでいく。また新たに研究対象となった時系列モデルにおけるコピュラ関数の推測問題なども取り組んでいきたい。
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