2012 Fiscal Year Annual Research Report
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22700296
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
天野 友之 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (40514451)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非線形時系列モデル / 多次元時系列モデル / 推定関数推定量 / 漸近正規性 / 漸近最適性 |
Research Abstract |
私の過去の研究結果より代表的な非線形時系列モデル(RCA、GARCH,NonlinearAR)に対しては推定関数推定量は、代表的な推定量である条件付最小2乗推定量より精度の高い推定量である事が分かった。またこれの漸近最適性のための条件も極めて一般的で緩い事が分かった。更に当科学研究費の初年度は推定関数推定量を最適ポートフォリオに適用し、次年度は推定関数推定量をより一般的な非線形時系列モデルであるCHARNモデルに適用し、その漸近正規性や漸近最適性等の精度の研究を行った。しかしながら今まで研究を行ってきたこれらのモデルは1次元非線形時系列モデルであり、現実問題と更なる応用を考えると1次元非線形時系列モデルより多次元非線形時系列モデルへの応用を考えておく方が良い。例えば最適ポートフォリオ問題は複数の資産の最適な資産配分であるが、各資産の収益率過程は互いに相関がある。つまり各資産の収益率過程を別々に考えるのではなく複数の資産の収益率過程を同時に考えた方が良い。つまり1次元非線形時系列モデルより多次元非線形時系列モデルを考えた方が良い。金融分野で最も代表的なモデルとしてGARCHモデルがある。これは様々な金融データに当てはめることができるモデルであるがこれを多次元に拡張したMULTIVARIATEーGARCHモデルがある。このモデルは先行研究から様々な金融データに当てはめることができまた各時系列どうしも相関があり非常に現実データに適したモデルである。しかし多次元であるため非常に複雑なモデルである。このモデルは非常に重要なモデルであるため多くの論文が出ている。本年度は先行論文よりこのモデルの性質を調査し推定関数の適用について研究を行った。また更なる推定関数推定量の応用や拡張、そして研究の推進を行うために幾つかの学会、研究集会等に参加し他の研究者と交流し研究推進のためのアイデアを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報技術の発展により近年多くの分野で様々な時系列データの特徴が発見されている。そしてその特徴を満たすような多くの非線形時系列モデルが提案されてきている。つまりこの非線形時系列モデルの更なる解析は多くの分野での技術発展につながる。長年この非線形時系列モデルに対し用いられてきた代表的な推定量は条件付最小2乗推定量である。しかし私の過去の研究においてこれが代表的な非線形時系列モデルに対してはほとんど漸近最適な推定量(最も精度が高い推定量)とならないことを示した。このような観点からGodambe等によって提案された推定関数推定量を代表的な非線形時系列モデルに適用しこれが条件付最小2乗推定量より精度の高い推定量であることを理論的に示しまたその漸近最適性の条件も極めて一般的で緩い事を示した。この性質の良い推定関数推定量はあらゆる分野のモデル推定への応用が期待できるのでこれの研究と応用が本研究の目的であった。当科学研究費の初年度の結果としてこれが最適ポートフォリオへも応用でき、漸近正規性も持つことも示した。そして次年度の結果としてより一般的な非線形時系列モデルであるCHARNモデルに対してもこれが適用でき、これが条件付最小2乗推定量より精度の高い推定量でその漸近最適性の条件も極めて一般的で緩い事を示した。推定関数推定量はこれだけ性質の良い推定量であるのでこの結果を更にもっと一般的なものへと応用する事が本年度の研究計画であった。今までの研究成果はほとんどが1次元非線形時系列モデルに対しての推定関数推定量の適用であった。しかしながら現実問題を考えると1次元時系列モデルより多次元時系列モデルへの応用を考えておく方が良いので本年度はMULTIVARIATE-GARCHモデルへの推定関数推定量の適用について考えた。当科学研究費の目的である推定関数推定量の応用はこれらの事から良好に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
私の過去の研究結果より代表的な非線形時系列モデルに対しては推定関数推定量は代表的な推定量である条件付最小2乗推定量より精度が高い事と、これの漸近最適性の為の条件も極めて一般的で緩い事が分かった。更に当科学研究費の初年度には最適ポートフォリオへのこれの応用と漸近正規性を示した。そして次年度の結果として、より一般的な非線形時系列モデルであるCHARNモデルに対しても推定関数推定量が適用できこれが条件付最小2乗推定量より精度の高い推定量でその漸近最適性の条件も極めて一般的で緩い事を示した。推定関数推定量はこれだけ性質の良い推定量であるのでこれをもっと一般的なものへと応用する事が今後の研究計画である。今までの研究成果はほとんどが1次元の非線形時系列モデルに対しての推定関数推定量の応用についてであった。しかしながら現実的に1次元時系列モデルより多次元時系列モデルへの応用を考えておく方が良い。このような見地から作年度の研究計画は多次元非線形時系列モデルへの推定関数推定量の適用であった。特に最も代表的な1次元金融時系列モデルであるGARCHモデルを多次元に拡張した多次元GARCHモデルについて研究を行った。この多次元GARCHモデルは様々な金融データの解析に応用でき多くの研究者らによって研究されてきた重要なモデルである。しかし各次元の時系列どうしに相関があり扱いが難しい。本年度はこの多次元GARCHモデルへの推定関数推定量の適用の更なる研究と他の多次元非線形時系列モデルへの推定関数推定量の適用を計画している。これらの研究計画を実施していくために今までに用いてきた参考文献を整理しまた時系列や統計学に関する書籍を参照し研究を進めていく。また金融など多くの分野の書籍を参照し推定関数推定量の応用について研究していく。更に研究集会に参加し国内外の他の研究者と交流し当研究を更に進めていく計画である。
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Research Products
(11 results)