2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域差を考慮した空間疫学・地域診断のためのスキャン統計量の開発とその利用
Project/Area Number |
22700301
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
高橋 邦彦 国立保健医療科学院, 技術評価部, 主任研究官 (50323259)
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Keywords | 空間統計学 / 空間疫学 / スキャン統計量 / 疾病集積性 / 地域診断 / ベイズ推定 / 疾病地図 |
Research Abstract |
保健医療・福祉の分野で広く用いられる空間疫学・地域診断のための統計手法において,市区町村単位のような小地域のデータを用いた解析では各地域の人口サイズの違いなどによる地域差の影響が大きく,統計学の基本となる同一分布からの標本に基づく理論が適用できない。そこで本研究では従来用いられている手法についてこれらの地域差の影響を詳細に検討することにより,どこに問題があるのかを明らかにし,その上でその改良を試み,より適切な解析が行えるような統計手法の開発を検討している。 本年度はまず症候サーベイランスを目的とし,事象の発生時点からの立ち上がりをモデル化した新たなスキャン統計量を提案した。実際のデータへの適用とシミュレーション評価によってその妥当性が確認された。またスキャン統計量を用いた集積性検定の応用について,実際に難病の集積性の検出を行った。さらに遺伝子のゲノムワイドCNVデータへスキャン統計量の応用についても検討を行った。 また,一般的なボアソンモデルに基づき,分散安定化変換を用いたスキャン統計量について,地域差の観点から理論的な検討を行った。従来の尤度比統計量に基づくスキャン統計量との比較をシミュレーションによってそれぞれの特徴を調べたところ,提案法がより精確な検出を行う様子が観察された。今後,引き続きこの提案法に関する理論的評価,数値的評価などを行っていく。さらに,これらのスキャン統計量による地域比較,ベイズ推定を用いたリスクの推定など,地域差を考慮した統計的手法とその利用についても検討を続ける。
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Research Products
(8 results)