2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域差を考慮した空間疫学・地域診断のためのスキャン統計量の開発とその利用
Project/Area Number |
22700301
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
高橋 邦彦 国立保健医療科学院, 政策技術評価研究部, 主任研究官 (50323259)
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Keywords | 空間統計学 / 空間疫学 / スキャン統計量 / 疾病集積性 / 地域診断 |
Research Abstract |
市町村や保健所管轄,二次医療圏などのような地域差のあると考えられる小地域データに基づいて,局地的な地域に疾病が集積しているかどうかを検討し,その地域を同定する方法として疾病集積性の検定があり,そのひとつとしてTango and Takahashi(2005)によるflexible scan statististicが提案されている。本年度はその方法を改良したスキャン統計量を提案し,実際にその検出の精度がどの程度よいか検討を行った。シミュレーションを行い,その結果,提案法は従来の方法や海外で標準的に用いられるcircular scan statisticと比較して検出力が高く,また検出すべき真の地域を精度よく検出できることが確かめられた。また従来の方法で問題となる計算時間についても大幅に改善できた。この結果は現在,専門学術誌に投稿中である。 またその実際問題への適用として,わが国の特定疾患(難病)における医療受給者証所持者数を,集計されている保健所管轄のデータを用い,その地域差を検討した。この結果,従来行われている都道府県単位の解析では分からなかった細かい地域差をみることができ,疾患によってその地域分布が大きく異なっている様子を観察することができた。 さらに疾患の発生と関連する遺伝子を検出するため,遺伝子間のマップを用いた検出方法にスキャン統計量の考え方を適用し,従来までとは全く異なった新たなスキャン統計量を提案した。実際,公開されているデータに適用したところ,従来の遺伝子分野の研究とも整合性もみられながら,より詳細な関連遺伝子の位置が示唆された。この結果は海外の学術専門誌BMJ Bioinformaticsに掲載された。
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Research Products
(7 results)