2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22700310
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 浩行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40376603)
|
Keywords | システムズバイオロジー / インスリン / シグナル伝達 / 時間情報コーディング |
Research Abstract |
我々は、同じ分子活性であっても異なる時間波形に異なる情報をコードする"時間情報コーディング"の存在を明らかにすべく、インスリンシグナル伝達経路に注目している。本年度我々は、ラット肝臓由来のFao細胞を用いてインスリンシグナル伝達経路の中心的分子であるAKTと、その下流分子であるGSK3βとS6Kのリン酸化、そして同じくAKTの下流に位置するG6Paseの転写量の細かいtime courseとdose responseを測定し、これらの分子が同じAKTという上流分子を持つにも関わらず時間波形が異なることを見出した。これらの結果はAKTの下流の分子がAKTまたはインスリンの異なる入力波形に応答している可能性を強く示唆している。つまり、インスリンシグナル伝達経路が"時間情報コーディング"を用いてインスリンの時間波形にコードされた情報を処理している可能性が強く示唆された。そこで、このメカニズムを明らかにするべく時間波形を再現する単純化した微分方程式モデルを作成し、上記の分子の時間波形を再現することに成功した。現在モデルの解析を行いメカニズムの解明を目指しているが、少なくともS6Kの脱リン酸化制御にはインスリン依存的な未知の制御が存在することをモデルの解析から見出し、これがS6Kのリン酸化の時間波形を作り出すために必須であることを見出している。
|